才能に見切りをつけたらスマホ
文部科学相は携帯電話やスマートフォンについて「小中学校は持ち込みを原則禁止」「高校は校内での使用を禁止」という指針を見直す方針を明らかにした、ようです。残念な話です。
いつでも小学校と中学校は十把一からげにされますが、小学校1年生と中学校1年生では全く違うというのは、子どもを見れば誰にでもわかることです。
個人差はありますが、その境目は十歳あたりにあり、学年で言うと、早い子で4年生、ゆっくりな子で6年生になります。
この境目は、とても重要です。大雑把に言えば、「子ども」が「大人」になる境目です。
「子ども」である十歳までに身についたことは、脳の深い部分に刻まれ、一生を左右します。
4年生までに覚えた「一輪車」「高度な縄跳び、鉄棒などの技」などは、その後、練習しなくても一生忘れません。
運動能力だけでなく、音、匂い、触感など五感からの刺激は、10歳までの脳の力をぐんぐん伸ばします。
そういう大事な十年間に、体の動きを身に着けたり、道具の使い方を覚えたりするのは有効ですが、ゲーム機やスマホの操作を覚えることは、まったく意味がないのです。
機械というのは、人間が使いやすいようにインターフェイスが次々に改良されていきます。
ですから、小さい頃、ゲーム機やスマホの扱いが上手でも下手でも、大人になって、それが有効に使われることはありません。
しかも、小さな画面、チープな音質は、脳のほんの一部しか刺激しないので、脳の発達が十分に行われず大人になってしまうでしょう。
生まれてから十歳までの黄金の時代に、「自然」「道具」「生のおしゃべり」をふんだんに味わった子は、その後、力をぐんぐん伸ばし、一生使える宝物を持って人生を生きていけます。
ですから、十歳以下は、スマホどころか、電気式ゲーム機は一切禁止すべきです。学校へ持込みするかどうか、など論外です。
登下校の心配があるから携帯電話を持たせたいという意見があったようですが、登下校の心配を解決する方法は、もっとよいものが沢山あります。
お子さんの未来を考えたら、とにかく十歳までは、できる限り、体と五感を使う色々な体験をさせなければいけません。
もし、「この子は、何をやっても、これ以上、伸びることはない」と、お子さんに見切りをつけたら、ゲーム機でも、スマホでも、パソコンでも与えてやってください。
この提案は、今の世界の流れには沿わないものです。でも、とっても大事なことです。