紙飛行機を飛ばしましょう
6年生の算数、速さの学習で、紙飛行機を作って、距離や時間を計りました。
よく飛ぶ飛行機を作ってくるように宿題を出したところ、「作った事がない」と言った子が、予想外に多いのに驚きました。
次の時間に持ってきた飛行機は、なかなか飛びません。
いくら何でも、飛行時間1秒では、速さの学習ができません。
中には得意な子もいて、友達同士で教えあったり、お父さん、お母さんに相談して改良してきたりと、1週間後には、体育館の2階から飛ばして、5秒、6秒と飛びつづける飛行機も出てきました。
お子さんと、折り紙で遊んだことはありますか。
お子さんは、折鶴を折れますか。
これはとても大切なことだと私は考えています。
低学年のクラスを担任する時は、必ず毎日、折り紙の時間を作ります。
伝統的な遊びの重要性は、2点あります。
1点目は、シンプルな道具を使うので、体でそれを補う遊びだということです。
折り紙遊びの道具、材料は紙1枚だけ。
ただの紙に命を与えるのは、指先の細かい技術です。
指の動きが脳の働きに大きく関係していることは、最近の脳の研究で明らかです。
テレビゲームは、道具ではなく、機械です。
電気というエネルギーが、人間の動きを補完します。
テレビゲームは指先を使うので頭がよくなると勘違いしているお母さんがいました。
テレビゲームで必要な指の動きはとても単純です。
方向も力の加減も、折り紙に必要な繊細さは必要としません。
指の動きは、脳の発達について大きく取り上げられ有名になりましたが、力の加減を身につけることも同じくらい重要だと私は考えます。
ロボットに生卵を割らせることがとても大変なことを思うと、それができる人間の脳は、本当にすごいものです。
でも、この素晴らしい脳の働きも、小さな頃からの経験がなければ自分のものにはなりません。
折り紙をはじめ、シンプルな道具と材料で何かを作ろうとすると、力の加減はとても重要になります。
ということは、遊びながら、脳の素晴らしい部分を磨いているということです。
2点目の重要性は、想像力がないとできない、ということです。
1回折る度に、どんな形になっていくかを想像できない子は、何度教えても折鶴の折り方を覚えません。
逆に言えば、いろいろな折り紙の折り方を覚えるうちに、次の形への想像力は伸びていく、ということです。
できあがった折り紙が何に見えるかという想像力がない子も出てきたようです。
出来上がった折り紙を見て、みんなが声を揃えて「パンダだ」と言っているのに、一人だけそれがわからない。
折り紙がピンクだから、でした。
具体物と抽象物を繋げて考える力は、とても重要です。
それができないと、小学生のうちに算数がわからなくなります。
算数の問題を解く鍵は、計算力ではなく、図式化する力にあるからです。
雨の日、そして寒い冬の夜、テレビを消して、みんなで折り紙で遊びましょう。
お母さんってすごいねって言われるかもしれません。
晴れた日には、紙飛行機を飛ばしてみましょう。
お父さん、すごいなあ、と言われるでしょう。
お父さん、お母さんから何かを伝承された子は、きっとよい子になります。