そろばんと電卓
小学校3年生の算数で、そろばんの学習をします。
最初の時間、そろばんを習っている子のそろばんと、習っていない子の電卓で、計算競争をしました。
勝敗は2倍の速さで、そろばんの勝ち。それで子どもたちは興味を持ちました。
子どもたちには言いませんでしたが、そろばんが勝ったのは、そろばんが計算機よりも速さにおいて優秀だったからではなく、そろばん体験者が鍛錬を積んでいたからです。
電卓も、そろばん同様トレーニングすれば、速く正確に計算できます。
しかし、そろばんには、別の強みがあります。
それは、電卓は複雑な機械なのに、そればんは単純な道具であるということです。
人のエネルギーで動かすものを道具、電気等、他のエネルギーで動かすものを機械と私は呼んでいますが、電卓は機械の中でも、複雑なつくりのものです。
そろばんで「8」と置くと、自分で置いたものがそのままの形で残り、なぜそれが「8」なのかを説明できます。
ところが、電卓で「8」のボタンを押すと、画面に「8」が現れるという仕組みを、子どもは説明できません。
私もできません。
そろばんは、手順も映像もしっかり脳に残るので、そろばんがなくても、それを利用して暗算につなげることができます。
電卓は、途中が完全なブラックボックスなので、電卓を打つ練習をいくら積んでも、電卓そのものがなくなったら、計算ができなくなります。
道具と機械の最も大きな違いは、ここです。
道具の使い方を修練すると、他の場合でも役立つ技術を手になじませることができますが、機械で同様のことが望めるのは、わずかな場合に限られそうです。
お子さんは、どんな道具を使えますか。
お子さんが使える道具について教えていただけると、うれしいです。