ITとかデジタル教科書とか
「ITとかデジタル教科書とかいう言葉を聞くと、子どもに何かをさせなければいけないのではないかと、何となく焦ってしまいます。」と、おっしゃっている方がいました。
これだけ世間が、「情報」「IT」などと騒いでいれば、コンピュータなどの使い方を早めに子どもに教えておいた方がよいような錯覚に陥るのは、当然です。
でも、実際には、そんなことは全くありません。
「情報」も「機器」も、単なる道具にすぎないからです。
道具というのは、人間の仕事をしやすくするために存在するものですから、まず、こんな「仕事」をしよう、ということが先立つのが大事で、すべきことや、やり遂げたいことがないのに、道具の使い方を覚えるためだけに時間をとるのは無駄なことです。
どうしてもやりたいことがあって、そのために道具の使い方を覚えようとする時は、何の目的もなく道具の使い方を覚える時の何分の一かの少ない時間で覚えられます。
さらに、子育てに限って言えば、もっと重要なことがあります。
それは、五感を十分に発達させておかなければならない10歳までに、小さな画面と指先の動きだけで過ごす時間の危険性です。
田植えをした子どもたちは、足裏で泥の感触を味わい、田に張った水の微妙な温度差を感じ、草の匂いを体に吸い込み、風が渡る音を聞き、目に見えない虫の動きを肌で受け止め、視界よりも広く輝く空のまぶしさを全身に浴びました。
10歳までに、五感を磨いておくことが、脳の正常な進化を促すそうです。
「では、早速、夏休みに家族キャンプをしよう」などと考える必要はありません。
日本は、どこに住んでいても、半日あれば、子どもたちが、海、川、山、土と戯れることのできる場所に行って帰ってくることができます。
同じ3日分なら、2泊3日で遠出するキャンプよりも、近場で過ごす半日6回の方が、子どもの感覚は育つような気がします。
お子さんのコンピュータゲーム、インターネット、スマホは、今すぐ禁止です。
その時間は、家事の手伝い、おしゃべり(親子でボードゲームも含む)、読書(読み聞かせ)、散歩に変えてください。
そして、大人が半日、時間を作れたら、近場で、子どもたちに自然の風と光を浴びさせましょう。