想像力は相手のために
6年生の道徳です。
高校生の時に失明して、それ以後、鍼灸院を開業したり、柔道でパラリンピックを目指しているMさんを講師にお招きして授業をしました。
Mさんが質問の時間をたくさん設けてくださるというので、前日、子どもたちが質問を用意しました。
まず子どもたちから出た質問は、「目が見えなくなって困ったことは何ですか」でした。
そこで、
・その質問は、1年生でも幼稚園児でも思いつく。
・その質問では、Mさんは伝えたいことを全部伝えられるだろうか。
・もっとMさんの様子や心を想像して、質問を考えなさい。
そう子どもたちに言いました。
幸い、Mさんから、アイマスクをして
・テレビを見る
・給食を食べる
・人ごみを歩く
・道路を歩く
という宿題が出ていて、前週みんなで体験していました。
子どもたちは、しばらく考え、次々に新しい質問を考えました。
・声をかける時にどんなことに注意すればいいか
・道案内はどうやってすればいいか
こんなふうに、子どもたちはより深い質問を生み出しました。
翌日の授業では、全員が違う質問をし、Mさんはそれにていねいに答えてくださる、という充実した道徳の授業になりました。
相手の気持ちや立場をより深く理解して質問すれば、相手の方から、より深い答えをいただけます。聞いた方も応えた方も、知識や心がより豊かになります。
こういう質問ができる子は、どんどん力を伸ばします。
こういう質問ができるようになるためには、体験が必要です。
テレビやテレビゲームでは、「質問を豊かにする体験」はできません。
外国の様子を1日テレビで見るよりも、家の周りを探検する方が、何万倍も経験が豊かになり、深い質問をする能力が伸び、力がつきます。
お子さんを一人でテレビの前に座らせてはいけません。
わたしはテレビが大好きだし、素晴らしい発明だと思っています。でも、素晴らしいがゆえに子どもには毒です。
お父さんも、お母さんも毎日仕事でへとへとでしょうが、休日はもうひと踏ん張り。
お子さんと体を動かし、体験をしてください。
豪華な休日は必要ありません。
一緒に何かをする時間が大事です。