家庭訪問で話すこと
全国で、どのくらい行われているのか、よくわかりませんが、私の勤める学校では、ゴールデンウィークの前後に、学級担任による家庭訪問がありました。
お父さんやお母さんと担任が話す機会を少しでも増やすこと、子どもたちが暮らしている地域や通学路をよく知ること、などが、家庭訪問を行う理由です。
訪問時間は十分程度と大変短いですが、お父さん、お母さんにとっても、担任と話す貴重な時間ですので、この十分間を最大限に活用してください。
まず大事なのは、お子さんの良さを担任に知ってもらうことです。
謙遜は日本人の美徳の一つですので、「うちの子は、何もできなくて…」などと謙遜なさるお母さんが多いのですが、これは得策ではありません。
担任に悪気はなくても、お子さんのマイナスの部分が印象的に残ってしまうことが多いからです。
お子さんが、算数が得意なら、そう担任に伝えましょう。
「うちの子は、算数が得意なんですよ」と言うと、ちょっと嫌味な感じかなあと思ったら、「うちの子は、算数なら好きらしく、算数の宿題をやっている時だけは、御飯だよ、と呼んでも、なかなか食べに来ないんです」と言えばいいと思います。
言い方を間違えても、お父さん、お母さんの愛があふれている言い方は、担任には嫌味なく届きますので、そんなに気を使う必要もありません。
次に、これまでのお子さんの成育具合を、きちんと担任に伝えてください。
「一昨年までプールの授業を嫌がってばかりいたのですが、昨年の先生のおかげで、ようやく25メートルが泳げるようになりました」という具合です。
先生にとって、○年生が○メートル泳げるのは当たり前のことですが、その子にとっては、25メートル泳げるようになったことは大変な進歩なのです。
そのことを担任が知っているかどうかは、とても重要です。
先生は、お子さんを他の子や平均的な○年生と比べて見る「横の見方」は得意ですが、お子さんの成長過程を見る「縦の見方」は不得手です。
お父さん、お母さんの話を聞いて、担任のお子さんへの「縦の見方」が増えると、指導の選択肢も何倍にも増え、より、お子さんに合った指導を、担任の先生がしてくれるようになるのです。
最後に、言わない方がよいことを、二つ。
一つ目は、お子さんの友達や昨年までの担任への非難。
これは、どんな会話でも同じですが、会話の中で第三者の悪口を聞かされると、聞いた人は二つに分かれます。
一つは「この人は、自分だけを本当に信頼してくれている」と感じる人、もう一つは「この人は、私がいない所では、同じように私の悪口を言うのだろうなあ」と感じる人です。
担任の先生が前者なら問題ありませんが、後者なら信頼は薄くなります。
二つ目は、「うちの子は、学校ではどうですか」と訊くことです。
担任は、子どもと出会ってから、まだ1か月足らず。
全部の子を、正確に深く理解しているということは、ありえません。そんな段階で聞く「学校での様子」には不確定要素が沢山つまっているので、それを聞いて不安になったり、すっかり安心したりするのは、損なことです。
もし、家庭訪問という行事があったら、参考にしてください。