カラスは白いと言われたら

読者の方からのお便り********************

私自身、誤答は消さずに余白にやり直しなさいと教わってきたので、子供にもそうするように教えていました。

2年生の次男の担任の先生は、宿題でもテストでもとにかく間違っていた答えは消して書き直しなさいという指導をするらしく、そういうやり方だと本人がどんな設問でどういう間違え方をしたのかということが分からなくなってしまうのに…と、この一年間ずっとモヤモヤした気持ちでした。

本人も誤答は残しておき、余白にやり直す方がしっくりくるようなのですが、そうすると先生に「消して書き直しなさいって言ったでしょ」と注意されるそうです。

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 子どもが大人になった時、幸せになってほしいと願うのは、親も教師も同じですが、細かい部分では、家庭の教育方針と学校や担任の先生の教育方針が異なることは、よくあることです。

 この時に絶対やってはいけないのが、先生や学校を、子どもの前で否定することです。

 特に10歳以前に、「この先生の言うことは間違っている」とか「学校のやり方はおかしい」と子どもの前で言ってしまうと、子どもは「学校で教えてくれることは価値がない」という価値観を持ちます。

 一度そうなってしまうと、子どもは学校で勉強することが無駄だと感じ、勉強をしない子になります。

それがしばらく続けば、その価値観は潜在意識に降りて、基礎学力をつける大事な9年間を棒にふります。

 ですから、この時期に、学校や担任が「カラスは白い」と言ったとしても、子どもの前では、「先生は白いカラスのことまで知っていて、すごいね」と言っておくのが、最もよい対応です。

 しかし、先生や学校の方法でおかしいと思うことに関しては、そのままにしておいてはいけません。

まず、子どもにわからないところで、「間違いを消しゴムで消す方法が本当に最もよい方法なのでしょうか」と先生に相談してください。

 子どもが小さなうちは、子どもに知られずに先生と連絡をとることは、さほど難しいことではないと思われます。

 先生と話すのが面倒だとか、先生が忙しくて、すぐに応じてもらえない場合は、「先生のやり方もいいけど、実は秘密兵器があるんだよ。この間違いノートは、まだ先生が、みんなには秘密にしているから、うちだけ先にやってしまおう」と、お子さんに「間違いノート」を教えましょう。

 親が「神様」の時期(10歳以前)の子どもの価値観は、親の価値観ただ一つから成り立っています。

その時期に、親が「白いカラスのことを知っているなんて、先生は素晴らしいね」と言い続ければ、子どもは学校の勉強を大事にして、勉強をし続けます。

 10歳を越えて、子どもが学校や先生に疑問を持ち始めたら、今度は、子どもがもつ「批判の目」を尊重し、「白いカラスは本当にいるのか、一緒に調べてみよう」と「先輩」の立場に立って助言してください。


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