勉強(仕事)の順序
以前、宿題をきちんとやり遂げることの重要性や、宿題を利用して自分の勉強をする方法について書いてました。
また、宿題を「大人の生活」に当てはめると、お子さんは残業を持ち帰って、毎日まじめに取り組むという凄い生活をしているという話もしました。
宿題をやることは大切ですが、宿題=勉強、と勘違いしたまま小学校を卒業してしまうと、大学生になっても、宿題が出ないと勉強しない人になってしまうようです。
さらに、就職した後に勉強しない人には悲惨な末路が待っています。
さて、宿題も真面目に続けていると、自転車に乗り慣れるように、時間を短縮できるようになります。
宿題が早く終えられるようになったら、そこから、自分の勉強を始めるという習慣を身に着けて、卒業していってほしいと思います。
たっぷりと勉強する時間があれば、自分の好きなようにじっくりと勉強に取り組めばいいのですが、普段の生活の中で宿題を終えてからでは、なかなかそうもいきません。
そこで、子どもたちには、次の順序で勉強しなさいと言っています。
1 本番の準備をする
2 得意なことを伸ばして、先取り(まだ学校でやっていないことをどんどん勉強)する
3 穴(苦手なこと)を埋める
1の「本番の準備をする」は、目の前に迫ったテストの勉強をするということです。
漢字の小テストなど、どんな小さな本番でも、それがあるとわかっていたら、全力で満点をとれる準備をすることが大事です。
テストでなくても、翌日の授業で発言するための準備をするという勉強でもかまいません。
本番で満点を取るという成功は、いつでも自信を持たせてくれます。
サッカー選手が練習で100本のシュートを決めるより、大事な試合で1ゴールする方が、何百倍も自信を持てるようになるのと同じです。
2と3のどちらを先にやることが重要か、というのは、意見が分かれる所かもしれません。
国語ができて、算数ができないのなら、算数から先に勉強する方がよいのではないか、という考えも正しいと思います。
ただ、その後の勉強への意欲を考えると、2を先にやった方がよいと思います。
「みんなよりできなかった算数がみんなと同じくらいできるようになった」よりも、「みんなから叶わないと思われるくらい国語ができるようになった」の方が、それ以後、勉強を意欲的にやれるような気がします。
意欲が出てくれば、苦手な算数にも、自分から手をつけるようになることが多いものです。
1、2年生の時は、宿題を丁寧にやって、毎日きちんと出すという習慣を身につけさせてください。
3、4年生のうちに、宿題を利用して自分の勉強をするという方法があることを教えてください。
卒業するまでに、宿題=勉強、ではないということを教えてやってください。
読者の方からのお便り******************
中2の娘が、苦手を直すより得意を磨くが先なんだと、不思議そうにしていましたので、私なりの解釈を話しました。
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やはり、受験を前にすると、苦手を直して平均点を上げる方法を選ぶように指導されるのがわかります。
これは、当然の指導だと思います。
得意な英語が90点、苦手な数学が30点という状況なら、得意な英語を磨いて95点にするよりも、苦手な数学にしがみついて50点にした方が、全体の平均点は明らかによくなるからです。
サッカーでも、試合前半の闘い方と、残り5分の闘い方では全く違うのが当然なのですから、受験という試合がある限り、勉強も、そうあって当然です。
ただ、子どもたちに覚えておいてほしいのは、好きなことをやる時と、苦手なことをやる時では、集中力も、量も、成果も、段違いに違うということです。
そもそも、仕事(勉強)に順序をつけたのは、十分な時間が足りないからです。
人生に十分な時間があれば、この3つのどれをどの順にやってもかまいません。
しかし、実際には、すべてを十分にする時間はないのです。ですから、限りある時間に、最も効率の良い仕事(勉強)をすべきです。
順序としては、とにかく目の前にある闘いへの準備です。
「負けたら終わり」ではありませんが、「勝てば」思わぬ副賞(幸せな気持ちになる、自信が持てる、認められる) の恩恵にあずかれるのです。
これは、教室の言葉の中の「自分で自分を褒められる状況を作る」ということです。
「自分を褒めよう」とよく言われるようになりましたが、リアルにそれができるためには、「実績」が必要です。
それの実績を自分で作れた時、心の底から「自分を褒める」ことができます。
残った時間を有効に使うには、得意を磨く方が遥かに有利です。
「得意なことは好きなこと」です。好きなことは、・夢中になれる・脳が疲れない・幸せな気持ちでやれる<
ので、苦手なことをやるのと比べ、同じ時間で、何倍もの量、何倍もの密度、何倍もの高い質で勉強できます。
その結果、テストの点はたった5点(90点から95点)しか上がらなくても、身につけた能力はとても高く、次への意欲にもつながります。
苦手なものに必死に取り組み、20点(30点から50点)上げるのも、とても大事です。それができたら、英語の5点よりも、自信とやる気がみなぎるかもしれません。
ただ、覚えておいてほしいのは、それをやり遂げるのは、とても大変だということです。
よほど根性を入れて(60〜70年代には必須の言葉でしたね)やらねば、時間の無駄になります。
苦手な事って、なかなか、それができないのです。
だから、まず、得意なことをやってしまいましょう。
でも、本気で、やらなくては…と思う時が来ます。
そうしたら、素直に「ヘルプ」と助けを求めましょう。怖いけれど先生に、恥ずかしいけれど友達に「教えて」と言えたら、本気です。塾へ行っている人、家庭教師のいる人は、ここで初めて「お月謝」の元がとれます。
超攻撃的なサッカーチームでも、90分攻撃しっぱなしということはありません。
90分の流れの中で臨機応変にリズムを変えられるチームが強いチームです。
しかし、長いシーズンを闘う基本戦術は変わりません。
試合ごとに基本戦術をころころと変える監督では、チームが崩れます。
仕事(勉強)の基本戦術は、あくまでも、1本番の準備、2得意を磨く、3苦手を直す、で、よいと思います。