一気呵成
新しいこと、というのは、いつでも楽しいものです。
知らないうちに夢中になっています。
3年生も、新しいことにたくさん出会います。
音楽ではリコーダー、書写では毛筆。
また、私の勤めていた学校では、図書室で自由に本を借りられるのが、3年生からです。
教室では、休み時間も図書室で借りてきた本を読んでいる子がたくさんいて、リコーダーの音も聞こえます。
図書室の本は、借りるのが楽しくて、1日に2回、3回と借りなおす子もいます。
本当に読んだかどうか、ちょっとあやしい子もいますが、今は、本をかりるという習慣が身につき、いつも本を携えて生きることが自然なことになればいいのです。
リコーダーも同じ。もちろん、美しい音で吹いてもらいたいのですが、今はリコーダーが手になじみ、リコーダーを吹くのが、ごく当たり前のことになることが重要です。
リコーダーはもちろん、本を読むことも、基本的な力が必要です。
基本的な力が身につかなければ、どんなに興味を持ったことでも、長続きしません。
基礎を身につけるには、ひとつ壁を乗り越えなければいけません。
ある程度の苦労が必要です。
ところが基礎というのは、後で身につけようと思ってもなかなか大変です。
興味を持った時に一気呵成に身につけておかなければ、あとで本当に苦労します。
結局、どんなことができるようになるかは、基礎を身につけるのが速いか、興味を失うのが速いか、で決まってしまうのでしょう。
興味を失っても「根性」で乗り切れるという気丈な人はいいのですが、人間、なかなかそうはいきません。
普通の人が、基礎を身につけるには、
・それがめちゃくちゃ楽しくて、知らないうちに身についている
か
・誰かに強制的に身につけさせられる
のどちらかの方法しかありません。
同じ身につけるなら、前者の方がいいですよね。
興味を持てている期間を少しでも長続きさせるために、「もう返すの?ほんとうにもう全部読んだの?」とか「リコーダーがへたくそで、ぴーぴー、うるさい」と言いたいところを、もうしばらく我慢してやってください。