黙って、やる

 学校では、掃除の時間や、図工の制作時間に、よく「黙ってやりましょう」と言います。

 確かに、黙って作業をすると、作業に集中でき、効率があがります。

ですが、すべての場合に当てはまるものではありません。

 おしゃべりができるのは、人間だけの特技であり、まして、子どもから、おしゃべりを取り上げたら、病気になってしまうかもしれません。

 じっと座っている時よりも、歩き回っている時の方がアイデアがわきやすい、という人もいるように、じっと黙っているよりも、おしゃべりをしている方が、その作業への集中力が長続きすることがあります。

 ただ、どんなおしゃべりでもOKかといえば、そうでないのは当然のことです。

 「そこにまだ、ごみが残ってるよ。」「もう一度、拭きなおそうか」

 「それ、どうやって描いたの」「その色の作り方、教えてくれないかな」

 このように、自分がしている作業に関係するおしゃべりなら、集中力を持続させる場合があります。

 他の生き物にとって、集中力は、命の危険を呼びます。

夢中になって餌を食べている所を襲われて、自分が餌になってしまうからです。

 でも、人間は、集中していても安全です。

 人間は、手を器用に使うことと、集中力を持つことで発達し、今の地位を築きました。

だから、集中力を高める、集中力を長続きさせるのは、とても大事なことです。

 どんな時に自分が集中できているかを思い出すと、子どもにとって、どんな状態がいいのかが、少しずつ分かってきます。

 もし、作業中に、お子さんがおしゃべりを始めたら、聞き耳を立てて、どんな内容なのかを、まず確かめてください。

 「集中しているおしゃべり」なら、安心です。

 他の人の集中を邪魔しない程度に、ですけれど。


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