努力して伸びる
読者の方からの質問**********
「1年生の50m走と同じタイムでいいのか」が気になりましたが、機会があれば説明をしてください。
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「1年生の50m走と同じタイムでいいのか」
これは、教室に掲示してある言葉の一つです。
「50m走で、1年生に勝てる自信のある人」と問いかけると、5年生は、全員「あります」と自信を持って手を挙げます。
「では、1年生よりも上手に平仮名を書ける自信のある人」と問いかけると、手を挙げない子も出てきます。
2桁ー1桁の引き算、授業中の発表回数、食べ物の好き嫌い、読書時間や勉強時間、元気なあいさつ、上手な掃除、家の手伝い…。
残念ながら、50m走の時のように、全員が自信を持って手を挙げる項目は一つもありません。
自分ができていないと自覚している所までは偉いのですが、そのために努力をしているかというと、必ずしもそうではありません。
「これらのことは、どれも、50m走で負けるのと同じくらい恥ずかしいことは、みんなわかっていますね。
でも、みんなは努力を怠っています。
それに気づいた時は、1年生の50m走と同じタイムでいいのかと、自分に言ってみましょう。」
こんなふうに話すとともに、教室に「1年生の50m走と同じタイムでいいのか」と書いて掲示しました。
実は、50m走の記録は、他のことと意味が違います。
1年生から6年生までの5年間、ただ食べて、遊んで、寝るだけで、身長や筋力は自然に伸び、何の努力をしなくても、50m走の記録で1年生に負けない体ができるからです。
しかし、その他のこと、字の美しさも、計算も、漢字の習得も、発表も、食べ物の好き嫌いも、勉強時間も、掃除の仕方も、「自然に」は、向上しません。
努力しないで力を伸ばせるのは、ぎりぎり14歳までで(実際には多くのことが、努力なしでは、それ以前に止まっているのですが)、それを過ぎると、努力なしでは力を伸ばすことはできません。
14歳になっても、努力を始めない子は、その先、何も身につけないまま終わってしまいます。
子どもの力しかないまま、大人になるのです。
ですから、18歳を越えたら、努力して自分の力を伸ばす大切さを知り、14歳までに、その習慣を身に着けていくことが大事だと考えます。
「1年生の50m走と同じタイムでいいのか」というフレーズを思い出すたびに、「努力して伸びる」ということを思い出し、14歳までに努力する習慣を身につけてほしいと思っています。