子どもは坂道の途中
小学校の先生からお便りをいただきました。
読者の方からの質問************************
わがクラスに、とてもおしゃべりだけど、集中力がない子がいます。
この子の場合はどうなっているのでしょうか?
家庭で、小さい頃に会話がなかったのでしょうか?
しかし、好きなことにはとても集中できます。
例えば読書など、時間があれば周りがうるさくてもしています。
ですから、集中する力は十分にあるのでしょうか?
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どのクラスにも、おしゃべりの子がいますね。
いないと寂しいものです。
A君とB君は、3年生の時から知っている男の子でした。
初めて出会った3年生の頃は、授業中、ずっとしゃべりっぱなし。
ちゃんと挙手もするのですが、指名されないと、勝手にどんどん意見を言ってしまいます。
でも、同時に、二人とも、本を読み出すと、じっと静かに読み続ける子どもでもありました。
6年生になってから改めて出会った二人は、友達の話をしっかり聞き、それに対する意見を、きちんと挙手し指名されてからしっかり話す子に育っていました。
さらに、授業中は、先生や友達の話に上手に合いの手を入れ、授業を盛り上げることができる、クラスにとって重要な子になっていました。
このことから考えると、お便りにあった子も、いつかきっと、「おしゃべりだったがゆえに、他の子より深い思考ができる子」に進化するのだろうと思います。
いつも、「子どもは上り坂の途中にいる」と思います。
小学生は、どの子も、必ず毎日、毎年、進化し続けているからです。
どの子もすごく進歩しているのに、坂道のどこにいるかを年齢で区切って比べると、「できる子とできない子」に見えてしまうのだと思います。
確かに、日本の制度では、15歳で義務教育が終わり、その時点で、坂道のどこにいるか、どんな道の途中にいるかによって、子どもに、それからの道を選ばせることになっているので、その年が近づくと少々あせります。
でも、小学生のうちは、できるだけ焦らずに、お子さんの進歩の具合を、見てやることが重要だと思います。
就職したての新人さんも、しばらくは小学生みたいに進化しますね。
15歳で義務教育が終わるといっても、厳しく選別されてしまう他の国々に比べれば、まだ余裕があります。
状況さえよければ、日本では、人生の選択を、18歳、22歳まで先延ばしにもできます。
周りの子と比べて、遅れているか進んでいるかを心配するよりも、
・昨年より、どれだけ進歩したか
・人のいうことを素直に聞き、すぐに行動に移せる子になっているか
・我慢強く、ていねいに物事に取り組める子になっているか
を、よく見てやるのが大事だと思います。
読者の方からの感想*************************
坂道の途中というのは本当によくわかります。
そして親もまだまだなだらかな人格の成長の坂道の途中ですよね。
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本当にそうですね。大人だって、まだ完成されていない人間なのです。