算数・数学を勉強する理由
数学科の大学院生A君が、授業を手伝いに来てくれていたので、「6年生に、どうして算数を勉強するのか、という話をしてほしい」とA君にお願いしました。
A君は、前日から入念な準備をして、順列・組み合わせの問題を解かせながら、JRの切符を例にして、「毎日やっている算数は、暮らしのいろいろなところで役に立っている」と、子ども達に熱心に語ってくれました。
子ども達も、A君から学んだこと、感想などを熱心にノートに書いて、A君に提出しました。
中学に入って勉強嫌いになる子から、一番激しく「悪者扱い」されるのは、数学ではないでしょうか。
A君の話を聞いた子達は、数年後、A君の話を思い出し、疲れた心にエネルギーを再注入してくれるのではないかと、期待しています。
10歳くらいまでの子どもには、「なぜ、この勉強をするのか」という説明は、特に必要ありません。
10歳くらいまでの子どもは、1時間真剣に学習活動をすると、子ども本人が自覚できるほど、能力が上がるからです。
これができた、これがわかったという喜びが、学習の意欲そのものになります。
しかし、10歳以上の子どもは、残念なことに、1時間の授業では、それほどの進化は望めません。
学習内容の濃さ、量も関係し、もっとじっくり取り組まなければ、自分の力が伸びたことを実感できない年齢になっていくのです。
ところが、子ども達は、自分がその年齢になったとは気づきません。
当然、去年まで楽しかった授業が、つまらなくなります。
「何故、自分は勉強するのか」「この勉強は、この先、どのように役に立つのか」などの理由付けを、意欲のエネルギーにしてやらなければならないのは、この頃からです。
大人になって随分経ってから、「あの勉強は、ここに役立っているのだ」と気づくことが時々あります。
そんな経験を、お子さんに話してやってください。
お子さんが勉強に躓いてから、よりも、お子さんがまだ勉強大好きな時に話してあげた方が、効果は大きいと思います。