進歩と進化

 進歩と進化は似ている言葉ですが、教室では、違う言葉として扱ってきました。

 進歩は、今ある力を伸ばしていくこと。

 進化は、今までにない力を身につけること、と教えてきました。

 進歩するには、毎日のたゆまぬ積み重ねが必要です。

 毎日、きちんと宿題をやる。毎日、まじめに授業を受ける。

そうした日々の丁寧な積み重ねが、緩やかな山道を休まず登れば自然によい景色に出会えるように、人を進歩させていきます。

 「やればできる、いつかはやる」と思っている人間は、居眠りをして亀に先にゴールされるうさぎです。

小さいうちに、山道を一歩一歩登っていく習慣を、ぜひ身に着けて行ってほしいと思います。

 12歳の人間は、進歩だけでなく、進化についても考えることが必要です。

 12歳の人間は、ほぼ全方向に、進化をする可能性を持っています。

ここから頑張れば、世界一の大金持ちにもなれるし、オリンピックの金メダルやノーベル賞をとる可能性も持っているのです。

(筋肉の質の関係で、12歳の段階で学校で一番足が速いくらいでなければ、短距離の金メダルは無理ですが、他の競技なら可能性があります。)

 14歳で一度、18歳で一度成長速度が変わるので、(また、日本の社会では、その年齢で中学校卒業、高校卒業という関門があるので)、その時点で、可能性の残る方角は狭くなってきますが、小学校6年生は、ほぼ、すべての可能性を持っていて、どう進化するかは誰にもわかりません。

 その可能性を現実のものにするためには、今の姿から変わることが必要です。

化ける、すなわち、ある時点で進化する必要があります。

 今までになかったことに挑戦すると進化のきっかけがつかめます。

といっても、突然、無謀なことをする必要はありません。

 例えば、いつもは1日1ページしかやらない書き取りや計算ドリルを、調子の良い日に10ページやってみる。

いつもは、学校の読書の時間にしか読まない本を、今日は朝から晩まで読み続け、厚い本を読了してみる。

といった、いつもしていることを、自分で驚くくらいたくさんやってみる、家族が驚くくらい丁寧にやってみることで、突然視界が開けることがあります。

 毎日、こつこつと積み上げ、そこに生まれた力で、時々、思い切ってジャンプしてみる。

そうすることで、12歳の未来は、全方向に広がります。


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