予習か、復習か、よりも
読者の方からのお便り************************
小1の子供が学校の予習をしないので、予習くらいしたらどうかな?と思っていましたが、予習はまだしなくていいんだと知って良かったです。
授業中しっかり聞いているからか復習もしないけど、成績は良いです。
このような場合でも復習はさせた方がいいですか?
***********************************************
予習と復習という言葉が一般的なので、どうしても、どちらをするか、と考えがちですが、この二つの言葉に縛られると、大事なことを忘れかねません。
いちばん大事なことは、「勉強が楽しいか」です。
人間は、楽しいことしか本気でやらないからです。
10歳以下で学習する内容は、とても単純なことですが、新しく知ることで、わくわくできるものばかり。
ですから、基本的には、「今日は何があるのだろう」とわくわくして授業に臨んだ方が勉強は楽しくなります。
11歳以上で学習する内容は、情報量が多く、少しずつ複雑になっていきます。
ですから、授業の前に、おおまかなところを知っていると、授業では、さらに深い部分に触れることができ、わくわくします。
さて、いただいたコメントですが、低学年の子に必要な復習は、中学生がテスト前にやる復習のイメージとは違います。
基本的には、手に入れた道具を手に馴染ませるような復習が必要です。
鉛筆の持ち方から、簡単な計算まで、教わったことが意識しなくてもできるくらいまで、繰り返し練習させると、その先、力がぐんと伸びます。
ただ、そこには、ちょっとだけ楽しさもないと、この時期の子は復習をしません。
たとえば、算数で、たし算、ひき算、九九の仕組みを教わってきたら、計算カードなどを使って、1秒でも早く答えが出せるように、お父さんやお母さんと競争してみる。
たとえば、国語で、素敵な物語に出会った日は、その物語の登場人物になりきって、お父さん、お母さんの前で教科書を読んでみる。
たとえば、国語で、新しい漢字を授業で教わったら、その漢字を使った言葉集めゲームをお父さん、お母さんとやってみる。
たとえば、生活科や社会科で、家や学校の周りのことを勉強したら、お父さん、お母さんと散歩をしながら、その場所をもう一度見たり、関連する場所に足をのばしてみる。
家族でこんなふうに楽しめたら、満点以上です。
私も、娘、息子も学習塾に行ったことがないので、塾でどんなふうに勉強しているか、よく知らないのですが、予習にせよ、復習にせよ、10歳以下の子が、同じような授業を、二度、三度受けるというのは、わくわく感がなくなってしまうのではないかと心配です。
小学校1年生は、先生が見せてくれる手品のような授業にわくわくし、中学3年生は、自分の力の伸びを実感することにわくわくする。
小学校1年生から中学校3年生までのわくわく感の質が、9年間で、少しずつ変わっていきます。
その中でも、10歳は境目になると思います。
くわしくは、脳科学者、池谷裕二さんの本『脳には妙なクセがある』等をごらんください。