20ページ
夏休みの最終日に、夏休みの最初の日のお子さんの姿を思い出してください。
今、そこにいるお子さんは、どこかが別人のように成長していると思います。
「漢字書き取りノート20ページ」という夏休みの宿題を出しました。
2日に1ページのペースでやればできる宿題です。
夏休み途中の登校日には、半分ほどの子が、もうやってきたよ、と提出しました。
ノートを開くと、ほとんどの子が、ていねいに書いています。1学期にいい加減な平仮名を書き続けた子が、ていねいな平仮名に変わっています。
新しい工夫を加えている子もいました。
でも、今回、私が最重要視しているのは、ページ数です。
ぴったり20ページをやって出した子は、きちんとした子です。
もちろん、これで合格です。
でも、これでは足りません。
「好きなことは時間を忘れる」。
時間を忘れるほど楽しくなった時が、本当の勉強であり、本当に実力がつく時なのです。
20ページぴったりで終わった子は、心のどこかで、ずっとページ数を考えていたと思われます。
「あと○○ページで終わる。」
これが心の中にある時は、心底楽しんでいる状態ではありません。
多分、これは一生つきまとう問題で、「○時まで、がんばれば仕事が終わる」「ここまで片付けたら休みがとれる」と思いながらやる仕事は、やった以上の成果はでないし、働くことが楽しみではなくなっています。
生きている時間の中で、仕事をしている時間は、その大半を占めるのですから、働くということが楽しくなければ、人生の楽しさの半分以上を捨てていることになります。
20ページ、という数を忘れて、漢字を学習することが楽しいと感じた子は、人生を楽しむ基礎がもうできている、ということです。
仕事を楽しむ人になるこつは、簡単に言うとたったひとつです。
それは、自分のことを自分でほめたくなるような仕事をすることです。
漢字の学習でいうと、
・書いているうちに、上手になったような気がする。
・覚えるための新しい工夫を見つけた。
上達するのには、少しがんばって小さな壁を乗り越えなくてはいけないし、新しい方法を見つけるには、「負けず嫌い魂」(サッカーの中山選手の言葉を借りました)が必要です。
どちらも大変なことですが、少しだけがんばって、自分を褒めたくなったら、その仕事は、「がまんしてやるもの」ではなく「人生を楽しくするもの」に変わるのではないでしょうか。