宿題を使う
クラスの子どもから、「4月30日は、学校は休みか」と聞かれました。
この年の4月30日は休日ではなかったので、「普通の日です」と答えると、その子は「ゴールデンウィークなのだから、休みではないのか」とさらに聞いてきました。
ゴールデンウィークは、へとへとに疲れるまで働いた大人のための連休です。
この子にとって、学校は「仕方なく労働する所」になっていると感じました。
この子には、1年かけて、そうではないことを教えなけばいけません。
5年生の保護者会で、「宿題を使う」という話をしました。
学校では、家庭学習の定着のために宿題を出しています。
でも、私は、子どもたちには、その一つ上のレベルで宿題を考えてほしいと思っています。
宿題をやっていかないと先生に叱られるから仕方なくやっていく。
こんなふうに考える子は多いのかもしれません。
でも、もし、こう考えているとしたら、その子は、「今日の仕事は、食べていくために仕方なくやる」としか考えない大人になってしまうでしょう。
14歳までに身についたことは、一生ものの宝です。
でも、同様に、14歳までに染み込んだ考え方は、大人になってから変えたくても、なかなか拭えない思考パターンになってしまいもするのです。
仕方なく1日の仕事をする人には、明日になっても同じ仕事しか回ってきません。
だから、その人は、一生「仕方なく」仕事を続けます。それどころか今の日本の状況では、明日の仕事はなくなるかもしれません。
今日の仕事を自分の未来のために楽しく行う人には、明日、新しい仕事が回ってきます。
その人の努力や進歩を、周りの人が見ていてくれるからです。
努力している人、進歩している人には、昨日とは違う、大きな仕事が回ってくるのです。
それを続けていけば、一生、その人は、やりがいのある仕事をし続けることができます。
もし、小中学生の間に、宿題をノルマと考えず、宿題を使って自分は勉強するのだという気概で宿題に取り組めるようになれば、その気持ちは、大人になった時に「仕事を使って自分が成長するのだ」という考え方になり、毎日を、そして人生を充実させることができるでしょう。
私のクラスで出している宿題は4つです。
○漢字書き取り…何を書くかは指示していません。
どんな漢字を書くかをわくわくしながら考えたり、どうすれば綺麗に書けるかを研究することに夢中になれたら、宿題を使っていることになります。
○本読みカード…何を読むかは指示していません。
自分で、何を選んで読むか、それをどんな風に読むかを考えることを楽しく思えたら、宿題を使っていることになります。
○計算ドリル…1学期のうちに3回通りやることになっています。
何をいつやるかは指示していません。
どのページをどんな時にやるかを自分で計画したり、間違いが多いページをどんなルールで克服するかを考えたりした時は宿題を使っていることになります。
○予定帳…翌日の授業における自分の課題を自分で考えて書けるようになれば、予定帳は学習のための最高の道具のひとつになります。
小学校は基礎学力をつけるところです。
でも、基礎学力とともに、自分が幸せになるための考え方も身につけて卒業していってほしいと思います。
14歳までに、どんな所作を身につけ、どんな考え方を身につけ、どんな習慣を身につけるかが、人生のすすむ方向を決めてしまうような気がするからです。