予習は教科書で
10歳くらいまでは、学校の予習はしない方がよいと思います。
脳が最も働くのは、「新鮮なもの」に出会った時です。
10歳以下の子が予習すると、授業で新鮮さが失われることが多くなります。
そうすると、授業中、脳が100パーセントの能力を発揮しないので、授業時間が無駄になります。
学校がつまらない、という感情も生まれます。
不登校の原因が、友達関係にあると思われることが多いのですが、その、さらに奥には、授業がつまらないと思っていることが原因になっています。
授業がつまらない、というと、教員のせいにしてしまうことが多いようですが、私の知っている限り、小学校の授業は、とても工夫されていて、面白いものばかりです。
予習し過ぎている子は、「そんなの知ってる」と思い、そう感じた瞬間、つまらなくなります。
10歳までは、学校の授業を新鮮に感じることが、力を伸ばすために重要なことです。
10歳までの家庭学習は、復習に力を入れてください。
今日習った漢字を書けるようにする、計算が速くなるようにトレーニングする、といった復習です。
復習は、どうしても新鮮さが減るので、大人でも進んでやりたいと思いません。
でも、とても大事なので、4年生までは、つきっきりで勉強を見てやってください。
10歳を越えると、少し事情が違ってきます。
ここからは、少しずつ、予習にシフトした方がよいと思います。
理由の一つは、第二次性徴が始まり、脳の仕組みも少し変わるからです。
(脳科学の研究を踏まえたわけではなく、あくまでも私の経験から、です)
10歳を越えると、「新鮮」に対する感度が、それまでよりも少し鈍ります。
もう一つの理由は、授業中の情報量が増えることです。
その情報量の多さを受け取るためには、予習が必要になってきます。
予習の方法ですが、教科書を使うのが、最も有効です。
高価な教材も、いろいろあるようですが、無料で配布されている教科書が、最も予習にふさわしいテキストです。
算数、数学は、教科書を読んだり、授業前に問題を解く、という方法をお勧めします。
解けない問題は、教科書ガイド、のような参考書を見て、解き方を読んでおくだけでもかまいません。
英語は、授業前に新出単語を調べて覚えたり、自分で文を訳したりするといいです。
国語、理科、社会は、授業前に、教科書の音読をしましょう。
すらすら読めるようになるまで、数回読んでおくといいと思います。
予習は、前日にやろうと思うと、何かのトラブルで、できない日があると焦ります。
1週間は、余裕を持って、予習をしておきましょう。
私が中学生の時、評判のよい英語塾がありました。
その塾に通うようになってから、英語の授業がよくわかるようになったと、多くの友達が言っていました。
気になったので、塾にお願いして、1日体験をさせてもらいました。
その塾では、授業の1週間先の所を勉強していました。
1週間前に、同じ授業をやっていたので、それまで学校の授業がわからなかった人が、学校の先生の言うことがよくわかるようになった、というわけです。
私は、すでに自分で1か月以上先の所をやってあったので、その塾に入るのはやめました。
でも、その塾のおかげで、自分で考えた勉強方法が正しいのだと自信が持てたので、感謝しています。
お子さんが、勉強で困っていると感じたら、お父さん、お母さんも一度、教科書を読んでみてください。
子どもの時は嫌いだった教科書も、大人の目で見ると、なかなか面白くて優秀な本だと感じると思います。
直接、親が勉強を教えなくても、面白そうに教科書を読んでいる親の姿を見て育つ子は、必ず力が伸びます。