黙っている子は考えていない
今年は、昨年に引き続き、6年生の担任です。
同じ6年生だから、同じ授業をすればよいか、というと、そうは問屋が卸しません。
一人一人の子どもが違うのはもちろんですが、クラスや学年というまとまりも、毎年、違います。
その違いに合わせて、その年の授業の基本コンセプトを決めていきます。
例えは悪いのですが、料亭の板前さんが、朝仕入れた食材を見てから、その食材の良さを最高に引き出すために、その日の献立を考えるのに似ているかもしれません。
今年の基本コンセプトは「黙っている子は考えていない」です。
日本には、沈思黙考という言葉があり、深く考える時は黙っているものだという考え方があります。
小学生にとっては、これは間違っていると私は思います。
考える練習を積み重ね、考えることが上手になった人は、沈思黙考が可能です。
しかし、ほとんどの小学生には、これは当てはまりません。
生き物の脳は、元々、自分の身を守るために、瞬間瞬間で、違うことを考えるようにできています。
一つの事に集中してしまうと、捕食者に食べられてしまうからです。
人間のように食事を味わっていては、自分が食材になってしまいます。
次から次へと興味が移るのが、普通の子どもなのです。
これは、悪いことではありませんが、学習するうえでは、長い集中力が必要になります。
ある程度の年齢になると、集中力の長さの差が、学習の差になってくるでしょう。
では、どうすれば、集中力が長続きするか。
その答えは簡単。それは、人と話をすることです。
そのことについて誰かとおしゃべりをしている限り、そのことに対する集中力は持続し続けるのです。
今年の子どもたちには、「授業中、誰かが正式に指名されて発言するまで、そして発言が終わって、その人が座ったら、とにかく、ずっと周りの人とおしゃべりをしていなさい」と指示しています。
(昨年の6年生には必要のない指示でしたが、今年の6年生には、最も必要な指示だと考えました。)
小学生の最も効果的な家庭学習は、親とのおしゃべりです。親と、学校のことや勉強のことをおしゃべりしている間は、お子さんの集中力は高くキープされていると安心してかまいません。