繰り返し話す
10日前の、ごく普通の日の夕食のメニューを思い出すのは大変ですが、10年前の記念日の夕食のメニューを思い出すのは比較的簡単です。
脳の学者が書いた本によれば、楽しいことを体験している時は記憶力が高まるメカニズムがあるようです。
確かに、そうだと思えますが、もうひとつ大事なことがありそうです。
それは、楽しいことは何度も思い出す、ということです。
子ども達には、思い出すたびに、脳の箱の蓋が開いて、蝶番がスムースになると説明しています。
自分で何度も思い出したり、いっしょに体験した人たちの中で何度も話題に上がることで、その記憶はより確かになっていきます。
ですから、ゴールデンウィークに、どれだけいつもと違うことをしたか、ということよりも、ゴールデンウィーク後に家族で何度、その話題で盛り上がったか、の方が重要です。
教員は、毎日、授業をより良くしようと改良を重ねます。
もちろん、よりよい授業をすることは教員にとって最も大事なことですが、そうした授業を、子ども達がそれぞれ、何度も思い出してくれることが子どもの能力をのばすために最も大事なことだと私は思っています。
私のクラスでは、予定帳を書く宿題などを通して、1度でも多く授業のことを思い出す機会を持てるようにしようと思っています。
でも、本当は、それよりも、脳の部屋の蓋を開くためには、家族と話をする方が遙かに効果があります。
今日、こんな授業をしたよ、毎日楽しそうに家で話す子は、人の何倍も勉強しているのと同じです。
盛り上がる家族の食卓の中で、お父さん、お母さんは、家族で過ごした楽しい出来事の中でお子さんに知っておいてほしいことを何度も繰り返し話す。
そうすることによって、ゴールデンウィークの出来事は鮮明に子どもの心に残り、お父さん、お母さんが伝えたかった大事なことも心に染み込んでいくのだと思います。
今日も、お子さんとたくさん話してください。そうすることによって、家族での経験も、学校での経験も、お子さんの力に変換されるのです。