1、2、たくさん
3以上の数字がない部族がいる、という話を聞いたことがあります。
3以上の数は、どれも「たくさん」と呼ぶそうです。
この「1、2、たくさん」を教室のいろいろな場面で使っています。
新しい漢字を覚える時、3回だけ、気持ちを込めて書かせます。
おぼえようという気もなく百回書くよりも、こちらの方が絶対しっかり覚えます。
字形を美しく書くためには、工夫しながら何百回も書かなければいけませんが、その漢字を覚えるためだけなら、じっくり3回の方が、しっかり覚えられます。
その場で3回覚えたら、その夜、また3回、そして週末に3回書けば、もう忘れません。
後は、日頃書く文に使っていけば、一生使える漢字になります。
私の音楽の授業では、新曲も3回で覚えることになっています。
1回目で全体像をつかみ、2回目で印象的なフレーズをいっしょに口ずさみ、3回目に全部を口ずさみ、4回目は前から知っていた曲のようにしっかりした発声で歌います。
各回の前に、歌詞を充分読ませて理解させたり、歌の形式をつかませたりする必要はありますが、多くの歌に接し、慣れてくると子どもたちはこれで1曲歌えるようになります。
あとは漢字の学習と同様、普段、朝の会などで時々歌います。
学校の勉強も宿題も、時間をのばそうと思っても物理的な限界があります。
また、時間が延びるほど集中力が薄くなるという悲劇も生じます。
質を高める方法や、質を高めようとする気持ちをが大切であることを教えることが重要です。
授業中、発表するのが苦手な子がいます。いろいろな工夫をして何とか1回発表できたとします。
その子はそれで乗り越えられるかというと、なかなかうまくいきません。
1回目の壁は高いのですが、2回目の壁もなかなか高いのです。
だから、気持ちが熱いうちに2回目の発表ができるようにしてあげなけれはいけません。
2回目の発表ができてほっとしたら、すかさず3回目の発表ができるようにしてやります。
短い期間のうちに3回発表できると、もう自分は前から発表ができる子であるような気になれます。
もし、発表できないと悩んでいるお子さんが、家で「今日、発表したよ」とうれしそうに言ったら、2回目3回目まで発表できるように、おもいきりほめて、持ち上げ、涙を流さんばかりに喜んでください。
3回目の発表ができたら、あとはほうっておいても大丈夫です。