演劇、落語で勇気を持つ
お子さんは、人と話したり、人前で話すことは得意ですか。
得意とまでは行かなくても、苦手にしていませんか。
そういう子を勇気づけるひとつの方法として、演劇があります。
台詞をみんなの前で言うことで、勇気が出てみちがえるほど明るくなる子もいるし、役になりきることで、いろいろな言い方ができるようになり、自信を持つ子もいます。
3年生を受け持ち、学年でミュージカルをやりました。
学校の学習発表会でお父さんやお母さん、他の学年の子どもたちに見てもらいました。
それまで小さな声しか出せなかった子が、どの子も体育館のステージから後ろの席に届くような声で自分の役を演じました。
4年生になったら、国語の教科書に載っている落語で、さらに話すことに自信を持たせようと思います。
ミュージカルから落語へのレベルアップの部分は、
○一人で何役も演じられる
○体の演技はほぼできないので、声だけで気持ちを伝える
という2点です。
もし機会があったら、ぜひ、お子さんと生の演劇や落語を観に行ってみてください。
お子さんが興味を持ったら、「人前でも臆せず話せる子」にあっという間に進化するかもしれません。
以下は、落語を使った指導でしていることです。
1 ビデオを見せて興味を持たせる。
6年生でも、落語をビデオで見るのは大変です。
そこで私はいつも、嘉門達夫さんの「ハンバーガーショップ」という歌のビデオを見せます。
2分程度の長さで、客と店員の掛け合いの面白さが、3年生くらいにでも伝わります。
もちろん6年生でもおなかを抱えて笑い、一人何役も演じることの面白さを理解します。
2 脚本をカットする
教科書(教育出版)に載っている「寿限無」を、みんなで声をそろえて読むと、十数分かかります。
こんなに長い時間、聞いている人を飽きさせないで話せる子は天才だけです。
思い切って脚本をばっさりカットさせて読ませると、聴いている方も楽しくなります。
読解力のある子なら好きな場所を、そうでなければ、和尚さんが名前をつけてくれるくだりを全部カットしてもよいと思います。
3 キャラクターを考えさせる
声が勝負ですので、キャラクター作りには、この2点を大事にさせます。
一つ目は声音。
高い声、低い声、強い声、弱い声…指導者が少し手本を見せれば、子どもたちはいろいろな声音に挑戦します。
二つ目は速さ。
速さには2種類あることを教えます。
話す時そのものの速さ。
それに、相手の言葉の後、どれくらい間を置いて言うか、という速さです。
最も大事な「間」という言葉ですが、子どもたちには「速さ」というイメージで最初に説明した方がわかりやすいようです。
4 脚色をさせる。
練習に入った時、「これはどういう意味かわかる?」と聞くと、案外わからずにやっていることも多いものです。
わからないところを演者がわからないまま演じても、聞いてくれる人には伝わりません。
落語のよい部分を損なったとしても、子どもが自分でわかるように書き換えさせるほうがよいと思います。
それができてくると、自分で新しいギャグなどを書き加えることも出てきます。
全員が「寿限無」を経験した後は、自分で一つ話を選んで練習させます。