微妙な言葉を使いこなす
夏休みの宿題の発表会を学級でしていた時のことです。
レポートの内容は、環境問題について、です。
地球温暖化問題から、学校の近くを流れる大井川の水質問題まで、いろいろなレポートが発表されました。
A君は、生ゴミを減らすために、いつもは捨てられる野菜の皮が食べられる調理法はないかを試してきました。
調理を考える中で、A君は、いろいろな野菜の皮を口にしてみたようです。
簡単な調理で食べられるものもあるし、まだ食べるまでにはいかないものもあったようです。
タマネギの皮も食べられないもののひとつだったそうです。
それを聞いたB君は、「えー、タマネギの皮を食べたの」と聞きました。
A君は「食べてない」と答えました。
B君は、「食べたって、言ったよ」と抗議します。
A君は、「食べられないもん、食べてないよ」と言い返します。
B君は、「食べなくちゃ、食べられないって、わからないんじゃないの」
放って置いたら喧嘩になりそうな勢いです。
男の子は、どうして、こんなことで喧嘩になるのでしょう。
A君にとって「食べる」は、たくさんの量をしっかり食べること。
B君が、この時イメージしていたのは、ちょっと口にしてみた、という感じです。
違うイメージを持ちながら、同じ言葉を使うので、すれ違ってしまっているのです。
今回の場合は、A君、B君のどちらかが、「食べる」の代わりに「口にする」とか「食べてみる」という言葉を使えば、何も問題は起こりません。
5年生の子どもは、「日本に来て10年しか経っていない人」なので、微妙な日本語を使いこなすのは苦手なのだと考えてはいかがでしょう。
こんなふうに思いながら子どもの声に耳を傾けると、何を褒め、何を叱り、何を教えればいいかが、はっきりわかってきます。