正確に応える
算数の時間、早く問題を解き終えて余裕のある子は、時々、30年前の中学受験の問題に挑戦しています。
最近の受験問題の研究はしていないのでよく知りませんが、この30年前の受験問題集の難しさには驚きます。
こうした受験問題に比べ、校内で行われるテストは、学習したことを確認するためのものが多く、テストの問題は基本的なものばかりで、毎日ていねいに学習に取り組んでいる子なら、満点がとれる内容です。
しかし、残念ながら、満点をとれる子ばかりではありません。
普段から学習をさぼっている子は、もちろん満点は取れませんが、多くの子は、毎日まじめにやっているのに、満点をとれないでいます。
その原因の多くは、「問題文を十分に読んでいない」ことでした。
たとえば、このような問題。
「(原因と反対の意味をもつ)言葉を(ア結末、イ結局、ウ結果、エ解決の中から)選び、記号を書きなさい」
この問題の答えは「ウ」です。
「結果」ではありません。
「結果」と書いては、正解になりません。
また、「一文を選び、はじめの五文字と終わりの五文字を書きなさい。(句読点を含む)」という問題では、文の途中を書いたり、句点を入れずに五文字を書いたりしては、内容が合っていても誤答になります。
テストで実力を発揮するために必要なことはいくつかありますが、「求められていることに正確に応える」ことは、中でも重要です。
求められていることに応じる力は、大きく考えれば、やさしさや思いやりにもつながります。
横断歩道の前で、重そうな荷物を横に置いて立っている老人を見つけたA君は、「僕がいっしょに行ってあげます」と言って、行き交う車を止め、重い荷物を担いで、いっしょに道を渡り、さわやかな笑顔を残して去っていきました。
とても親切なA君ですが、A君はやさしくありませんでした。
実は、この老人は、重い荷物を持って、やっとのことで道を渡り、そこで一休みしていたのです。
のどが渇いて立てない人に、いくら高価なケーキをあげても、やさしいとは言えません。
この人に必要なのは水なのです。
相手の言うことをよく聞き、そこから状況や心情をよく読み取り、相手が何を言いたいのかを正確にとらえれば、持っている実力を十分に発揮することができます。
落ち着いて聞く、落ち着いて読む習慣を身につけることは、力を伸ばし認められるために、ますます大事になっていきます。
お子さんが、正確に聞き取っているか、正確に読み取っているかを、時々、気を付けてみてください。