先生、いつ着替える?

 昼休みにA君が私のところにやってきて、「先生、いつ着替える?」と言いました。

 A君の意図するところは、

「5時間目が国語で、6時間目が体育。体育の時間が短くなるのは不本意なので、時間のある昼休みに体育着に着替えてしまい、体育着で国語の授業を受けてもいいか?」

というところです。

 でも、「先生、いつ着替える?」は、字面だけ見れば、「先生がいつ着替えるのか知りたい」という妙な子どもになってしまいます。

 言葉、会話というのは、前後の関係、背景などが総合されて通じるものなので、このように省略されても一向にかまいません。

食事を頼む時、「僕はとんかつ」「私は鰻」というのは、その代表例としてよく紹介されます。

 ただ、10歳の子は、言葉も、まだまだ発展途上なので、こういう機会に、より文法的に正しくて伝わりやすい言葉遣いを教えておく方が能力は伸びます。

 子どもたちに、いろいろな例を上げて、このことを説明したら、とても面白がって聴いてくれました。

 「先生、いつ着替える」は、「昼休みのうちに着替えておきたいのですが、いいですか」にすればいいと教えると、それ以後、自分で意識したり、友達の発言を直したりするようになりました。

教室では、言葉遣いや言い方を直した方がよい時は、「先生、いつ着替える?」という合言葉で通じるようになりました。

 直したい言葉や言い方があるたびに「直しなさい」というよりも、合言葉の「先生、いつ着替える?」と言った方が、子どもたちは楽しく言葉を直します。。

 小学生に「言葉遣いが悪い」と頭ごなしに叱っても意味はありません。

もし、英会話を初めて習って数年で、「言葉遣いが悪い」なんて怒られたら、誰だって戸惑います。

 こういう言い方の方がいいんだよ、と教えられれば、喜んで直すでしょう。

 子どもたちも、言葉遣いが悪いと叱られると戸惑い、時には横を向く子もいますが、この言い方に替えたほうがいいと教えると、みんな喜んで、すぐに直します。

 言葉なくしては人間は思考できません。

 14歳までに、言葉を正しく組み立てられる人に育てましょう。

読者の方からのお便り**********

伝える言葉。大人もですね。やってみます。

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 言葉は思考の唯一の道具ですから、言葉が思考に与える影響は、ことのほか大きいようです。

私もブログやメールマガジンを書き続けていることが、言葉の練習になっているような気がします。

アウトプットした時に、学習は身につきますね。


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