教科書を音読する
お父さんやお母さんの前で、音読をするという宿題を、毎日出しています。
他にも、漢字書き取りや計算ドリル、予定帳(予定帳の宿題は、日本でも私のクラスだけだと思います)の宿題を出していますが、最も重要なのは、「本読み」の宿題だと思っています。
たった3分でも、仕事で疲れて帰宅し、家事の手をとめて子どもの音読を聞くのは大変だろうと思いますが、ぜひ、頑張ってほしいとクラスのお父さん、お母さんには、話しています。
音読の宿題は、国語の教科書を読むことが宿題になっていることが多いようですが、私のクラスでは、何を音読してもよいことにしています。
他の教科の教科書、新聞、今読みかけている本など、何でもOKです。というより、逆に、国語の教科書は、それほど沢山読まなくてもよい、それよりも算数や社会科の教科書を読むように勧めています。
国語は、文を読みこむことが学習の中心になるので、授業でも、何度も本文を読みます。
ですから、家で改めて読む必要は少なく、逆に読みすぎて飽きてしまうという弊害も起きます。
他の教科では、授業中に教科書を音読するという機会は、国語とは比べ物にならないほど少ないのが現状です。
昨年、改めて、それに気づき、6年生の社会科は、単元ごとに学習前に、授業中に教科書と全員で共通に使用している資料集を音読することにしました。
そこでわかったのが、難しい歴史用語もすらすらと読んでしまう子と、重要な歴史用語も、ほぼ初見の子がいて、その差があまりにも大きいことでした。
これでは、「考えましょう」「意見を言いましょう」「話し合いましょう」といっても、同じ土俵で全員が学習するのは無理なことです。
授業に音読を入れることで、時間はかかりましたが、全員が歴史への理解を、より深められたと思います。
ですから、6年生にとっては、国語の教科書を音読する以上に、社会科の教科書を音読することは、速効性があり、自信にもつながると思われます。
さらに効果があるのが、算数が苦手な子が、算数の教科書を音読することです。
よく、計算は何とかできるが、文章問題が苦手だというご相談を受けます。
文章問題が解けない理由は2つあって、その一つは、問題文を丁寧に読んでいないことです。
文章問題の問題文は、わりあい短く、さっと読めてしまいます。
さっと読めてしまうので、本当は、もっとスピードを落として丁寧に読まなければいけない部分を読み飛ばすことが多いようです。
さらに、問題文の後に、図や図形が描いてあると、文を読ますに問題を解き始める子も少なくありません。
これでは、問題が正しく解けない、とか、凡ミスをするという癖は治りません。
そんな子は、毎日、音読することで、読み飛ばす癖は減っていきます。
また、「本読み」の宿題で、算数の教科書を読むことを取り入れるのは、子どもにとってもラッキーです。
国語の本に比べて、文が短いからです。しかし、算数が苦手な子にとっては、その効果は抜群なのです。
子どもにとっても楽、しかも効果的と、音読の宿題で算数の教科書を音読するのは、一石二鳥です。
音読の宿題は国語の本を読むようにと先生がおっしゃっていたら、「算数や社会科の本も読ませたい」と、一度、先生に相談してみるとよいと思います。
駄目ですと言われたら、こちらに御相談下さい。