「1杯」はなんと読むか
国語、算数、理科、社会…、もちろんどの教科も大事ですが、日本で勉強する限り、国語の力がなければ、他の教科はどうしようもない、というのも事実です。
先日、授業で扱ったテスト問題に「何杯ですか」という問題がありました。
子どもたちは、杯という字はまだ学習前で書けないので、答えは数字と平仮名で書いてきます。
1ぱい、2はい、3ばい、4はい、5はい、6ぱい、7はい、8ぱい、9はい、10ぱい。
こうなるはずですが、こうならない子が何人か出てきました。
1ばい、2ばい、…こういう子が一人きりではなかったので、心配になって、みんなに聞いてみました。
すると、ほとんどの子が、こう書いてあることを「おかしい」と言いました。
このように書いた子にも、1杯から数えてごらん、と言うと、どの子も正しく唱えることができました。
「話し言葉」では正しく習得できているものが、正しい「書き言葉」になっていないということです。
大人も子どもも、「書く」という習慣がずいぶん減っています。
言えても書けないということは、大人でもあるかもしれません。
30年近く小学生を見てきて、たった一人だけ、小学生なのに文章力で私は勝てないかもしれないという子に、数年前出会いました。
その子の文章力の秘密は、小さい頃から続けている「お母さんとの交換日記」にありました。
その子は、交換日記によって、書くことが好きになり、5年生にして、僕をうならせる文章力を身につけたのです。
その子は、もちろん、他の教科でも、まったく苦労していませんでした。
今回の算数の例は、言葉の間違いによって算数の学習ができなくなった、という例ではありませんが、この先、言葉が不確かなことによって、他の教科に悪い影響がでることは、この事例からも想像に難くありません。
お子さんは正しく言葉を使っていますか。お子さんの文を最近読んだことがありますか。
今までお子さんに手紙を何通くらい出していますか。