言葉を増やす
中学生になっても、幼稚園児のような話し方をする子がいます。
付き合ってみると、なかなか頭の良い子だとわかることもありますが、最初の印象は、「頭が悪そうな子」です。
年相応の語彙を使って話ができないと、やはりまわりの人の評価は厳しいです。
年相応の話し方ができれば、普通の子。
ならば、その年齢よりも少しだけレベルの高い言葉遣いができれば、「できる」子に思われます。
かといって、幼稚園児が大人びた話し方をするのも敬遠されます。
半歩先に行く人は尊敬されますが、一人だけ百歩先に進んでしまうと、その時点では高く評価されません。
話し方というのは、生活会話の中で形成されるものです。
ですから、家庭での会話が、お子さんの話し方を形作ります。
「今日から、この子のために、うちでは上品にレベルの高い会話だけをしよう」と決意するのが、お子さんの会話レベルを上げる最も良い方法です。
しかし、これでは、なかなかうまくはいきそうもありません。
会話の仕方ばかりに気を取られて、心の安らぎの場であるはずの家庭がぎくしゃくしては、元も子もありません。
それで、次に有効なのが、読書です。
読書をたくさんして、語彙を増やし会話に生かす、という方法です。
じっと本を読んでいるだけではだめですが、読書が好きでおしゃべりも好きな子は、普段使わない言葉をたくさん目にしているので、聞こえてくる言葉にも敏感になり、普段の会話の語彙が増えてきます。
でも、急に読書好きになるわけもないし…、という声が聞こえます。
では、ここから始めましょう。
お子さんの「音読の宿題」には、ちゃんとつきあってやっていますか。
だったら安心です。
お子さんの国語の本を開いてみてください。
今、私は、5年生の国語の本を見ています。
ちょっと注意してみると、国語の本の中には、普段の家庭の会話では使わない言葉がたくさん出てきます。
たずねる もとづいて 表す ほがらか (気持ちが)こめられる ながめる 用いる (季節の)移り変わり (成績を)納める 事柄 (先生に)宛てた(手紙) 紛れ込む かたどる ところが 心をひかれる
ぱらぱらとめくってみるだけで、普段の会話の中ではあまり使わないだろうと思える言葉がたくさん見つかります。
子どもが音読の宿題をしている時に、これは普段使わない言葉だと感じたものがあったら、「これってどういう時に使うの」「この言葉を使ったことがあるかしら」などと言ってみて下さい。
そうするだけで、お子さんの語彙は増え、会話も豊かになり、「君は偉いね」といわれる日が来ます。
お子さんの心や頭を良くする種は、生活の中にいっぱいあります。
親が気づいて、ここにあるよ、と教えてあげるだけでいいのです。
種を探すのは、親にとって、本当に楽しい作業だと思います。