211ページ
211ページ。これは、4年生のAさんが夏休みにやってきた漢字書き取りのページ数です。
書き取りは、夏休みの宿題ではありません。
ただ、夏休み前にやった漢字テストで満点をとれなかった人は、次回のテストで満点がとれるように準備してくる、ということは、宿題でした。
この宿題に対して、Aさんは、40日弱の間に、211ページの書き取りをやってきました。
1日平均5ページ以上、どのページもていねいに書かれています。
Aさんの7月の漢字テストは、惨憺たる結果でした。
もともと漢字が得意でもありません。
何がきっかけになったのかは、よくわかりませんが、Aさんは次回のテストで満点をとると、かたく心に誓ったようです。
多分、お父さん、お母さんの励ましもあったでしょう。
いくら夏休みとはいえ、毎日五百字以上の漢字を、ていねいに書き続けるのは、4年生にとって、とても大変なことなのです。
211ページの甲斐があって、Aさんは見事に次のテストで満点を取りました。
11月になっても、まだ半分以上の子が満点を取れないで再テストを受け続けている手強いテストです。
Aさんは漢字に自信が持てたのか、好きになれたのか、2学期になってからも、宿題1ページのところ、時々2ページの書き取りをやってくる日があります。
ひとつのことを身につける時、このAさんの書き取りのように、短期に集中して大量の練習をすることは、とても有効です。
これで成果が出ると、子どもは自信を持ち、他のことでも、努力をするようになります。
ただ、すべてのことが、短期集中がベストかというと、そうでもありません。
Bさんは、マット運動が苦手で、「前転からブリッジ」がこわくてなかなかできませんでした。
でも、Bさんは逃げ出さずに、毎週1回の体育館でやる体育の時間に挑戦をつづけました。
始めてから半年以上経ったある日、Bさんは、突然、この技ができるようになりました。
多分、最初の頃、無理にたくさんの時間をかけて練習させても、怖さが先に立ち、マット運動がよけいに嫌いになっていたでしょう。
1週間に1度、半年かけて、少しずつ自分で努力したり、友達に励まされたりすることで、達成できたことです。
身につけさせたいことが、短期集中がよいのか、ゆっくりがんばらせるのがよいか、大人がよく見極めてあげれば、子どものがんばりは結実します。
お子さんの瞳を見て、ぴったりのやり方を探してあげてください。