速くても、違うゴールに行ったら
「A君とB君がマラソンをします。
A君は、ものすごいスピードで走っていきましたが、ゴールの場所を間違えました。
B君は、ゆっくりでしたが、ゴールまでのコースをていねいに見ながら、きちんとゴールしました。」
この話を聞くと、子どもたちは、A君はだめだなあ、と笑います。
「そうですよね、A君は大失敗です。算数の時間にも、A君のような人がいます。
A君のように、問題を解くのが滅茶苦茶速いけど、間違っている人です。」
子どもたちは、どきっとするようです。
多くの子どもは、時間内に10問解いて3問間違え70点の子と、時間が足りず7問しか解けず、でも、解いた問題は全部正解で70点の子を、同じだと考えます。
でも、ここには、落とし穴があります。
めざすゴールは、もちろん、速くて正確なことです。
算数では、覚えたことを速く正確に使えることが、次に学習することの重要な道具になるからです。
プロの仕事は、みんな速くて正確です。
どちらが欠けても、プロの仕事とは認められません。
しかし、たとえプロとはいえ、初めから、こうではありません。
一流になった人、もしくは、それをしっかり身に着けた人は、みんな、「ゆっくりだけれど、正確に」から始めています。
「雑だけれど速い」という人は、いつまでも「速くて正確」にはなりません。
勉強でも、お稽古ごとでも、みな同じです。
宿題の書き取りや計算練習は、「ゆっくりだけれど、正確に」やっていますか。
それとも「雑だけれど速く」やっていますか。
「宿題は終わったの?」の代わりに、「宿題は、ていねいにできた?」と時々訊いてみてください。