自分の字を書かない
漢字書き取りについて4年生の子ども達に言っているのは、「自分の字を書くな」です。
半年以上がんばってきたおかげで、ほとんどの子の字が上達しました。
大人の字と変わらない上手な字が書ける子が何人もいます。
でも、不思議なもので、そこまで上達した子も、少し気を抜くと、今までの癖が出て、お手本の字から離れてしまいます。
4年生は10歳。ここが勝負所です。
10歳といえば、神経系が完成すると言われている年齢。
ここまでに基礎をきちんと身につけておけば、それが一生の宝になるのです。
以前、6年生で同じように指導したところ、Aさんという子が、「字は個性だから、私の好きなように書かせてほしい」と言ってきたことがあります。
Aさんは、当時流行った、典型的な丸文字を書いていました。
書き取りを始めた頃は、私が直したとおりに書こうとしていましたが、なかなか上達せず、半年以上経った頃、「私の好きなように書かせてほしい」と言ってきたのです。
個性は大事ですが、Aさんは肝心なことをまだ知りませんでした。
個性はきちんとした基礎の上にだけ成り立つ、ということを忘れてしまうと、それは個性ではなく、ただのでたらめにしか思われないのです。
個性を、個性として認められるためには、きちんとした基礎が必要です。
Aさんの気持ちはよくわかります。
6年生は12歳。特に女子は成長が早いので、10歳までの子と比べると、新しいことが手になじむまでには、何倍もの努力、期間が必要です。
ですから、まだ、できるようになる可能性はたくさんあるのですが、低学年の時のようなつもりで物事に取り組むと、思うようにうまくいかないので、あきらめてしまうことも多いでしょう。
手になじむ(考えなくても自然に体が動く)ようにしたいものは、できるだけ早いうちにやらせた方が、よいと思います。
少しくらい厳しくても、Aさんのように、「なかなかできないことに苦しむ年齢」になる前に、身につけさせてやりたいものです。
1週間、ぴったり横にくっついているだけで、お子さんの字は見違えるほど上手になります。