漢字書き取りを熱心にやる子
日本中、多くの学級で、毎日、漢字書き取りの宿題が出ていると思います。
子どもたちは、やる気いっぱいで取り組んでいるでしょうか。
多くの子が、嫌々やっているかもしれませんが、中には、(嫌だと思っても)真剣に取り組んでいる子がいます。
それは、どんな子かというと、まず、漢字テストで百点をとれる子です。
練習をするからこそ百点をとれるのだから、それはおかしいだろうと思われるかもしれません。
しかし、これは、大事な真実です。
百点をとれると思うから、ライバルが百点で自分が違うと困るから…、いろいろな細かい理由はありますが、やれば百点をとれるという自信のある子が、真剣に取り組んでいるのです。
人間は、自信のないものより、自信のあるものの方が、真剣に、楽しく、長い時間を費やして取り組めるのです。
次に、真剣にやるのは、自分の字に感動している子です。
私は、5年生、6年生にも平仮名を教えます。
5年生、6年生になると、1年生ではわからなかった平仮名を上手に書くこつを早くつかみ、真剣にやりさえすれば、すぐに上手になります。
その、上手になった自分の字を見て感動している子は、字を丁寧に書くようになり、漢字も上手になります。
字が上手になったと感動すると、もっと書きたくなるのです。
お父さん、お母さんが熱心で、毎日、書き取りノートをチェックすることで、とても字が上手に書ける子もいます。
そういう子は、大概、親に文句を言いながら、嫌々、毎日書いているようです。
そうしている間は、なかなか漢字も覚えません。
しかし、いつか「親のおかげで字が上手になった」と親に感謝する日が来たら、自分の字に感動して、自ら練習すると思います。(大人になってからかもしれませんが)
次に、真剣に書く子は、漢字以外の何かに強烈に興味を持った子です。
例えば、歴史上の人物、(鉄道が好きになって)駅名など。
興味を持つと、何だか書きたくて仕方なくなるようです。
私のクラスの宿題は、どんな漢字を練習してもよいので、時々、歴史上の人物などが並ぶ場合があります。
中には、好きな女の子の名前を毎日書いてくる子もいます。
その部分だけは、とても綺麗で上手です。
今、私の学級では、半分の子が、毎日うるさく言わないと書き取りをやりませんが、もう半分の子は、日数分以上のページの書き取りがやってあります。
その子たちには、もう、書き取りをやりなさいという必要はありません。
逆に、その子たちは、余分なページを「貯金」とし、やらない日があっても、貯金を崩して提出すれば良いことになっているので、忙しすぎたり体調が悪い日は書き取りを休むことが許されるのに、その子たちは、貯金がたくさん貯まっていても、普段は毎日書いてくるし、調子の良い日は、規定以上のページ数の練習をし、さらに貯金が貯まっていきます。
これが、本当の勉強をしている姿だと、嬉しくなります。
百点をとれる自信がある、自分の字に感動する、他に強烈に興味のあることがある、この三つが、書き取りに熱心に取り組む鍵です。