漢字の学習

 自分が子どもの頃は、とにかく漢字を書かされました。

徹底的に書いて覚えなさいと言われました。

このおかげで、自分は漢字の学習が楽しく、しっかり使えるようになったと思っています。

 80年代、仕事を始めた時、同じように漢字の指導をしました。

漢字をたくさん知って正しく使えること。これが一番大事なので、この「ひたすらたくさん書く」という方法は、正しいと思います。

しかし、日本語の状況が少し変わってきました。

 英語のタイプライターにあたる日本語ワードプロセッサーが一般化してきたのです。

ここで、これまでの学習方法「ひたすら書く」は、変えた方がよいと考えました。

・書く時間の一部を読む時間に変え、これまで以上にたくさんの漢字に触れる。

 (そうすれば、今まで以上にたくさんの漢字を覚えられる)

・同音異義語を正確に把握し選択できるようにする。

 (当時のコンピュータは変換間違いが多く、人間が正しく選択する必要があった。)

・基本的な字の書き順をきちんと覚える。

 (全ての字を書かなくても、基本の書き順さえ手になじめば、字が正しく書ける)

 ただひたすら書くという時間の中から、このようなことにも時間を使うようになりました。

 これを、しばらく続けてきましたが、また状況が変わってきました。

コンピュータの文字変換精度が上がり、子ども達もキーボードやタッチパネルで簡単に文が打てるようになってきたのです。

 誰でもパソコンを使って文書を作れる時代に、大事なのは、美しい手書きの文字を書けることだと私は考えました。

身の回りの文字がすべてパソコンのフォントになった今、手書きの美しい文字で書かれる手紙は、30年前までの手紙の何百倍もの価値があるように思ったのです。

ですから、今の漢字の指導は、一文字をゆっくりと美しく書くことに最も時間をかけています。

 お子さんは、漢字を楽しみながら書いていますか。漢字はしっかり覚えていそうですか。


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