もっと楽しく

 5年生の国語の授業で、1時間、漢字クイズをやりました。

ほとんどの子が時間の過ぎるのを忘れてやったと後で言っていました。

 そこで宿題を出しました。

「漢字の書き取りが毎日楽しくて楽しくて仕方がないという人はいないと思います。

そこで、今の1時間のように時間を忘れて漢字の勉強をする方法を考えてきなさい。

考えられなかったら、家族や先輩に聞きまくってきなさい。」

 1週間後、いろいろなアイデアが集まりました。

・30分がんばったらお菓子をたべていいことにして、がんばる。

・自分でテストをやって、100点でなければ、おやつをあきらめる。

・15分でやる、と時間を区切ってやる。

 こんな感じで次々に20くらいのアイデアが出されました。

真剣に家で考えてきてくれて、うれしい限りです。

 では、これらのアイデアについて意見を言いましょう。

そう言ったら、またまた手を挙げる子が続出で、結局、たった一つを残して、全部却下されました。

 却下の理由を私がまとめました。

・ご褒美につられてやるのは、よくない。ご褒美の内容に気を取られるばかりで、漢字の内容を楽しんでいない。

・罰を用意するのも、ご褒美と同じ。

・時間を忘れてやれるのが集中した証拠なのだから、時間を設定するのは意味がない。

 こういうことを見抜く目を持っているのですから、この子達はセンスがあります。

 残ったひとつは

・家の人に問題を出してもらう。

です。

これなら、楽しいでしょうし、親子の会話も弾みます。ぜひお家でもやってみてください。

 でも、私はさらに意地悪な宿題を出しました。

 「家の人に問題を出してもらうのはいいけれど、一人ぼっちの時にできる勉強も考えなくては、本物にならないよ。ではまた1週間考えてね。」

 5年生は、がんばって考えてきました。

○ 字を絵に変える

○ 漢字クイズを作る

○ 漢字にニックネームをつける

○ 漢字ソングを作る

○ 漢字の「へんとつくり」しりとりをする

○ 漢字の仲間集めをする

○ 漢字物語を作る

 なかなか面白そうなものばかりです。

でも本当に夢中になれるのか実際にやってみなくてはいけません。

自分で選んだものを1時間やってみました。

 1時間夢中でやった子がいます。そうでなかった子もいます。

そうでなかった子は、他の方法も試してみました。

 結局、どの方法が一番なのかは、よくわかりませんでした。

きっとそれぞれの子にあったそれぞれの方法があったのでしょう。

まず、自分にあったものを見つけることが大切です。

 漢字にニックネームをつける、というのは、「女」を「くのいち」と呼ぶように名前をつけてしまおうということです。

これはとっても難しいと思います。

5年生には無理かなと思っていたら、1時間一所懸命考えて「先生、見て」と持ってきた子がいます。

 「きつい女」わかりますか。

答えは「桜」です。

木へんに、片仮名のツに、女だそうです。

さくらさんという名前の女性には失礼ですよね。

でも、よくできました。

 楽しい勉強は、オリジナルの方法ならもちろん最高ですが、最初からオリジナルである必要はありません。

人から聞いた方法をいろいろやってみましょう。

やって素晴らしいと感じたら、それを続けましょう。そして、その方法を人に教えましょう。

教えているうちに、オリジナルがでてくることも多いのです。

「学ぶ」は「まねる」の派生語のようです。

授業の最後に子どもたちに話したこと**************

 家にあるコーヒーカップやティーカップには、お皿がついているよね。

カップが君なら、お皿は君を支えてくれている人だよ。

カップからあふれるほど君の中に幸せがいっぱいになったら、お皿にも幸せがこぼれて、君を支えてくれる人も幸せを感じるんだよ。

勉強方法も同じ。

自分が楽しくて仕方がない方法を考えれば人に教えたくなるよ。

そしたら、君はたくさんの人を幸せにできるし、脳も鍛えられる。

まず、自分を楽しませて、とびきり幸せにしてごらん。

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