丸暗記すべきもの、丸暗記すると損するもの
5年生の算数では、図形の面積の学習をします。
「三角形の面積の公式は、底辺×高さ÷2」という学習です。
この学習では、公式を丸暗記しては損をします。
なぜなら、まず第一に、面積の概念や長方形の面積の出し方を利用して、次々に公式を探していくのが楽しい学習だからです。
やる前から公式を暗記していても、何も面白くありません。
面白くない学習は、頭の中に定着しません。
第二の理由としては、公式というのは、丸暗記しても使えないもの、それどころか、丸暗記すると大事なところで間違えてしまうものだからです。
時々、学校の授業より先に塾で勉強して、全部の公式を暗記してくる子がいますが、どうしてそうなるのかを訊くと、わからないという子が大勢います。
そういう子に限って、ちょっと複雑な図形になるとお手上げになることが多いのは、自分で発見した公式ではないので、使いこなせないからです。
公式は、自分で発見すると、応用がききます。
面積の公式の丸暗記は能力を伸ばすための障害になってしまうことが多いのですが、逆に丸暗記した方がいいものもあります。
それは、漢字とか、もの(物、人、地名…)の名前です。
漢字は成り立ちや意味を理解し論理的に覚えたほうがいいという学者もいるようです。
しかし、文字や名前のほとんどは、論理的に誕生したものではありません。
こういうものは、まず、できるだけたくさん頭の中に詰め込んでおいた方が、後々役に立ちます。
ある程度の量を暗記した後で、分類したり、理論づけたりすると、楽しく力を伸ばせます。
「詰め込み教育」「ゆとり教育」などという言葉を聞くと、学習すべてが、そのどちらかにしなければいけないような錯覚に陥りますが、学習は、一つ一つ、それぞれの特性を生かして、丸暗記したり、丸暗記を避けたりしなければいけません。
漢字とものの名前の他に、ちょっとおしゃれな抽象的な言葉(たおやか、清々しい、…)をたくさん丸暗記しておくと、将来、意外なところで、お子さんは得をするはずです。
気になる言葉や名前を見つけたら、お子さんに、その意味や由来などを教えてやって、興味を持たせて暗記させてください。