レトルトカレーと面倒なカレー作り
6年生の算数の教科書に、
a+3=7
a+3ー3=7ー3
a=4
と載っているのを見たC君が、「塾で教わったのと違う」と言いました。
「塾では、左の+3は、右に行くとー3になる、と教えてくれた。全然違う。教科書は面倒くさい」とのことです。
ここでの問題点は、C君が「面倒くさい」と思ったことよりも、
A a+3=7
a+3ー3=7ー3
a=4
と
B 左の+3は、右に行くと−3になる
が、
全く違うことだと思ったことです。
このAとBの2つは、同じ事を示しているからです。
Aは、等式の約束から答を求める方法。
すなわち、カレーライスでいうと、カレーライスの基本的な作り方、です。
Bは、それを元に考えられた簡単な方法。
カレーライスで言うと、レトルトのカレーを温めて食べる、ようなものです。
これは、どちらが良い、とかいう問題ではありません。
急いでいる時は、レトルトカレーが活躍します。
しかし、よりおいしいカレーを作りたい、人に振る舞いたいと思ったら、面倒でも基本的な作り方を知らなければいけません。
C君の言うとおり、「基本」は面倒くさいのです。
復習のためのテストの問題を解く時には「レトルト」が活躍します。
この考え方を使って、より複雑な問題や新しい分野の問題に挑む時には、「基本」を知っていることが必要になります。
2年生のかけ算でいうと、「ににんがし、にさんがろく…」はレトルトです。
どうして3×2が6になるのかを、絵や図を使って説明できる力が「基本」です。
レトルトは便利です。
レトルトを使えなければ、短時間で問題を解くことはできません。
でも、それゆえに、レトルトしか教えられていないのでは、一生、料理(算数)の楽しさを知らない人になってしまいます。
工夫して新しいものを考えたり、困難を自分で乗り越えたりすることのできない人になってしまうかもしれません。
レトルトカレーも、本当に本格的な味のものが増えました。
でも、お父さん、お母さんと一緒に作ったカレーライスの味を一生忘れないのと同じように、お父さん、お母さんと楽しくおしゃべりしながら考えた算数の問題は、お子さんの心に深く刻まれるでしょう。
「基本」を知ることが、それを好きになる大きな要因になります。