鎧を脱げば、どれも同じ
6年生の算数の問題です。
5/6平方メートルの壁に2デシリットルのペンキを塗りました。
もし1デシリットルなら、何平方メートル塗れますか。…A
「この問題を解く式が分かる人…」
3分の1の子どもが手を挙げました。
6平方メートルの壁に2デシリットルのペンキを塗りました。
もし1デシリットルなら、何平方メートル塗れますか。…B
「この式が分かる人…」
手を挙げる子は、3分の2に増えました。
6個のケーキを作るのには、2個の卵が必要です。
もし卵が1個なら、ケーキはいくつできますか。…C
「この式が分かる人…」
全員が手を挙げました。
この3問の式の仕組みは全部同じです。
BとCは、式の数字まで同じです。
一見、難しいと思えることも、実は、鎧を脱がすようにていねいに中身を見ていけば、とても単純にできていることがわかります。
大人でも、思いこみから、単純なことを複雑に、取るに足りないことを必要以上に心配してしまう、ということはよくあります。
まず大事なのは、落ち着いて、本質をよく見ることです。
でも、Cはすぐにわかっても、AやBが分からない子がいるのは事実です。
Bの式がすぐにわかるのに、Aの式が分からない子は、数字恐怖症に陥っています。
大きな数字や分数を見ると、気を失ってしまうのです。
数字が大きかったり、複雑だったりすると、物としてイメージできないので、何か途轍もなく難しいものに見えてくるのだと思います。
Cだけが分かる子の頭や心の中でも、同じことが起こっています。
ケーキ、卵だと目の前に、個数を含めたイメージが簡単に浮かぶので、解決できるのですが、平方メートルやデシリットルのイメージがわかないのです。
実は、ここが数学の美しく楽しい所であると同時に、乗り越えなくてはならない所です。
でも、心配はいりません。
小学生の算数は、ほとんどが絵に描けるくらいイメージのはっきりした勉強です。
小学生(算数)のうちに、たくさん絵や図を書いて問題を解いたり、積み木などの道具を使って問題を解いたりする経験をたくさんしておけば、14才に近づき脳が進化して、中学校で数学に取り組むときには、抽象的な問題も解けるようになっていきます。
小学生のうちは、答を出すことだけにあわてず、絵や図をたくさん描いて、問題を解くことを楽しませましょう。
それをていねいに積み重ねると、ある時点から、算数が好きになり、飛躍的に力は伸びるはずです。