問題を解くストーリー
6年生の算数です。
「車が270km進むのに、15Lのガソリンを使いました。100km進むのに、何Lのガソリンが必要でしょう。」
簡単な問題だと思われるでしょうが、これができない子が、まだ、います。
何人かが、270÷15=18 答え18Lと書いてきました。
とりあえず、わり算でやっておけば答えが出るだろう、などと考えています。
ちゃんとできない理由は、「語るように」問題を解こうとしないからです。
この場合、「語るように」というのは、こういうことです。
「まず、1Lで、どのくらい走るのかを計算する。100kmは、その距離の何倍かを計算する。」(100kmは270kmの何倍かを計算し15Lをかける、などでも、もちろんOKです。)
こんな風に、きちんとストーリーが頭の中に描ければ、簡単に解ける問題です。
このストーリーを思いついても、途中でくじける子がいます。
それは、100÷18が、50/9という、いかにも半端な分数の答えになるからです。
何だかはっきりしない90/5Lという数字を答えにしていいのか迷い、これを破棄して、おさまりのいい18という数字を答えにしたくなります。
こういう子は、これまで、「何となくわかっている」レベルで、算数を凌いできた子です。
また、最初から、このストーリーを語れない子もいます。
その子は、3年生でわり算を習った時に、きちんとした言葉で、数式を言葉に直してこなかった子です。
例えば、パン6こを3人の子どもに同じ数ずつ分けます。
一人分は?という問題を解くのに、6÷3=2という計算をします。
もちろん、これができない6年生はいません。
でも、「この2は何ですか」と聞くと、「6わる3の答え」としか言えない子がいます。
「パンの数」と答える子もいますが、これは充分な答えではありません。正しく言うと、「2は、一人分のパンの数」です。
この「一人分」が重要です。
単位量当たりの考え、という、算数でとても重要な考え方を表す言葉だからです。
わり算を習い始めた時に、この「一人分(一皿に、一台に、…)」という言葉が、しっかり身につくまで、何度も、解き方について話したかどうかによって、その後の子どもの伸びは違ってきます。
6年生になって、算数の問題を解く時に、計算式(数)と文(ストーリー、言葉)と図(イメージ、絵)がリンクして出てこない子は、本当の力を持っていません。
80点、90点をとる子の中にも、こういうタイプの子は多くいます。(いつも、80点というよい点数をとってくるのに、100点をとってこないようなら、要注意です)
算数の問題を解いているのを見かけたら、「この式のストーリーを話してみて」と問いかけてみてください。
「うるさいなあ」と言われてしまうかもしれませんが。