11の解法
6年生の算数「比例と反比例」の授業です。
教科書に、比例のグラフが描いてあり、その下に問題が書いてあります。
比例の直線は2本描かれており、A、Bとなっています。
○cmで△gの針金を表しているグラフはAかBか、という問題です。
○cmと△gは、グラフの目盛にはない(グラフの目盛は○cmと△gより少ないところまでしか描かれていない)数字です。
教科書は、どちらか、と問うているので、「Aです」などと答えれば、終わりです。
でも、それでは面白くないので、この時間は「この問題を解く方法を文章で答えよ」という課題にしました。
今年の算数の時間、問題を解く時は、いつでも速さを競うことにし、速い順に黒板に名前を書くことにしています。(子どもたちはランキングと呼んでいます)
今日の問題は、自分より速く正しい答えを出した人と違う答えを出さないとランキングに入れないことにしました。
この問題は、グラフから単位量当たりの量(1cmだと何gか)を読み取り、○cmの時に△gかを計算して答えを出すのが基本となりますが、この基本的な解法では、クイズの早押しと同様、数秒差でランキング入りを逃します。
20分ほど時間をとったら、11位までボードに名前が埋まりました。
ということは、このクラスは、この1つの問題の解法を11こ、考えだしたということです。
ここで、互いのノートを見せ合い、説明し合って、「こんな方法もあるのか」とか「これが一番楽な方法だ」「すごく遠回りだけど、確かに答えが出る」といった感想を言い合います。
これが、わざわざ学校へ行って、教室でみんなと勉強する意義であり、算数を勉強する意義でもあります。
小学校の算数では、答えは一つです。
答えは一つで、決まった物しかないのだから、解いて正解を出せば終わり。
こんな風に思っていては、算数は少しも面白くないし、学校で、みんなで勉強する意味もありません。
答え(ゴール)は一つでも、解法(ゴールにたどり着くための道)はいくつもある。
算数の問題を解く時に、いつも、そう考えていれば、算数は限りなく楽しく、脳の部屋をつなぐ廊下(バックナンバーの「脳の話」をご覧ください)も増えていきます。
人生の困難な問題にぶつかった時には、できるだけ沢山の解決方法を考え、その中のベストの方法を選ぶ能力が必要です。
解決方法が一つしか考えられず、その方法が誤り(失敗)の時、人は絶望します。
(不思議なことに、解決法が全く見つからない時より、見つけたたったひとつの方法が失敗だった時の方が遥かに深い絶望を味わうのが常のようです。)
でも、解決方法を沢山考え出せれば、たとえ最初の方法が失敗でも、挑戦し続けることができます。
あきらめずに挑戦し続けるる人だけが、夢を叶え、自分の望んだ豊かな人生を歩んで行けるのです。
時間があったら、親子で、教科書の問題の解法をたくさん出す競争をしてみるというのは、いかがでしょう。