速く楽に

 6年生、算数の平均の授業です。

 Aグループの読書ページ数は、健太君1008ページ、良雄君983ページ、美津子さん1015ページ、奈々恵さん998ページです。このグループの一人当たりの平均読書ページは、何ページですか。

 答えは、(1008+983+1015+998)÷4=1001 答え1001ページ、です。

 この計算をこつこつとやって、正確な数字を出す子は、レベルBです。

こんな面倒な計算はやりたくないと言って、放り出す子はレベルCです。

 ではレベルAは、というと、こんな面倒な計算はやりたくない、と言う子です。

ただ、Cの子と違うのは、放り出さないことです。

例えば、どの子も900以上だから、(108+83+115+98)÷4+900と考えたり、(8-17+15-2)÷4+1000などと、考えたりして、とにかく速く楽にできる方法を考えようとする子は、レベルAです。

 小学生は、8-17という計算は知りませんが、これは絵を描いたり、物を使えば何とかなってしまいます。

必要なのは、現状に満足しない気持ちと、何とかしてやるという意欲です。

 どうすれば、こんな子に育つかというと、親がそういう姿勢を見せるだけで、いいと思います。

難しく考えることはありません。

「困ったな。どうしよう。…そうだ。こうしよう」と言っていればいいんです。

 「あら、冷蔵庫にこれだけしかないわ。どうしましょう。…そうだ。今日は、これを作ろう」

 「電球が切れたけど、脚立が壊れて使えない。どうしよう。…そうだ。机の上に椅子を乗せて」

 日常の何でもないことでも、「困った。どうしよう」とお子さんの前で言ってください。

そして、考えるふりをして、解決してみましょう。繰り返すうちに、「ねえ、こうしたらどう?」なんてお子さんが言い出したらしめたものです。

 一つだけ禁句があります。

それは、「買ってくればいい」です。

今の日本の小学生は、「お金は自然に家にある」と思い込んでいます。

道端の石ころや雑草くらい、お金は自然に家にあるものだと勘違いしています。

そんなお金で問題を解決できるというくせをつけると、子どもは何もしなくなります。

 困ったな、こうしよう、もっといい方法はないかな…という知恵が、次の幸せを連れてくることがわかった子は、どんどん進化していきます。


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