体を支える
いつの頃からか、運動会の種目に、「組体操」が復活していました。
サボテン、ピラミッドという技は、ご存知でしょうか。
オーストラリアから来ている英語の先生は、「ジムナスティックパフォーマンス」と呼んでいました。
私の勤めていた学校では、5、6年生がは「組み体操」という演技をしていました。
大人数の派手な技は危険を伴うこともあり、これには、私は反対ですが、見学者の中には、「感動する」という声もあります。
子どもも教員も、命をかけてやっているので、感動するのは当然です。
大技についてはともかく、「一人技」と呼ばれる「自分の体を支える運動」は、子どもにとって大変重要です。
練習をしていて感じるのは、よく言われることですが、年々、体力のない子どもが増えているような気がすることです。
逆立ちができない、肩車ができない。
中には、仰向けに寝て足を上げ、自転車こぎのまねをする演技も充分にできない子がいます。
お子さんは、
・逆立ちができますか。立てなくても、一人で壁倒立ができるくらいの力がほしいです。
・同じくらいの体重の兄弟や友達を背負って歩けますか。
・お父さんの肩車にのって両手を離して楽しめますか。
・学校にある上り棒とうんていは軽々とできますか。
・逆上がりはできますか。前周り降りをこわがっている子も最近は多いです。
また、
・気を付けの姿勢から、垂直や水平方向に、真っ直ぐに腕を伸ばしてキープする
・腕立て伏せの姿勢をキープする
・長座から足をそろえて上げ、V字バランスの姿勢をキープする
・仰向けで寝ている姿勢から、(両手で腰を支えて)両足をまっすぐ上に伸ばした姿勢をキープする
・(頭は地面につけずに両手両足での)ブリッジの姿勢をキープする
も試してみてください。
「体幹」という言葉は、一般的になりましたが、こうした「自分の体を支える筋肉」が、しっかりしているかどうかが、この一人技でわかります。
子どもたちを見ていると、しっかりできる子と、そうでない子に、はっきりと分かれます。
しっかりとできる子は、普段座っている姿勢もよく、その姿勢が長続きするので、その分、集中力も長続きします。
子どもに余分な筋肉をつけると、成長の妨げになります。
しかし、良い姿勢を保つために必要な筋肉は、つけておかなければいけません。
暗くなるまで外で走り回り、家の手伝いをたくさんしていた時代の子どもたちには、この心配はいりませんでした。
ジョギングを親子でしているという家は時々ありますが、毎日親子で、何かにぶらさがったり、持ち上げたり、ころがったりしているというのは、なかなか聞きません。
もし、お子さんが、外で充分に遊ばない、十分な家事手伝いもしていない状態でしたら、先ほどの一人技がしっかりとできるか、とりあえず、試してみてください。
世の中が便利になった分、子どもたちは意図的に体を動かしておかないと、災害などのいざという時、生き延びることのできない人間になってしまいます。