いくつ職業を知っているか
私の勤めていた学校の6年生の総合学習では、キャリア教育という名前の指導に多くの時間を使っています。
将来のこと、自分の人生のことに、少しだけ思いを馳せようという学習です。
他の学校で時々見かけるのは、自分が就きたい職業について調べるという学習です。
それが悪いことだとは思いませんが、それをして子どもの何が育つのかは、私にはわかりません。
この授業で最も問題だと思えるのは、子どもが知っている職業が少なすぎることです。
お子さんに、知っている「仕事の名前」を聞いてみてください。多分、百に満たないと思います。
これは当然で、大人でも百の職業名をすぐに言えるかというと、なかなか難しいものです。
この数少ない職業の中から、将来の職業を選んで、それに向かって頑張ろう、などというのでは、子どもの人生を台無しにしてしまいます。
先日、六年生六十八名で、二時間かけて、職業はいくつあるか、を考えました。
連想力を使って、(調べたのではなく)考えたのですが、二千近い数の仕事が出てきました。
もちろん、実際の職業のほんの一部ではありますが、二千の中から選べるとなると、職業への興味も違ってきます。
12歳までの子どもの人生には、まだ、無限に近い可能性があるのですから、将来のことを考えさせるなら、できるだけ多くの選択肢を用意してやることが大事です。
小学生が、現実として知っている職業は、親の職業と学校の先生くらいです。
親が勤め人の場合は、親の職業も「本当に」知っているか怪しいのではないでしょうか。
今回の修学旅行は、「出会う人すべてが、何かの仕事をしている人」がテーマの一つでした。
教室では出会うことのない職業の人と直に触れ合える特別な授業だと考えると、修学旅行の意味も大きくなってきます。
5年生になったら、今、出会っている人が、どんな仕事をしているのかを、意識的に教えていくと、お子さんの可能性は自然に広がっていきます。