職業の数
私の勤める学校の6年生の総合的な学習は、キャリア教育を中心に進めています。
時々、あこがれの仕事は何ですか、その仕事を調べましょう、という流れの授業を見ますが、これは少し違うと、私は思っています。
夢を持つというのは大事なことです。
しかし、その夢が、例えばプロサッカー選手になることだと考えると、少し困ったことが起きます。
なぜなら、プロサッカー選手になる夢は、ほとんどの人が18歳で叶えてしまうからです。
その道のプロになるのが夢だというのなら、サッカーの久保建英君や将棋の藤井聡太君は中学生で夢を叶えてしまっているし、女優の芦田愛菜さんは小学校に入る前にプロとして活躍しています。
サッカーが好きなら、「一生サッカーに携わっていたい」「日本のサッカーを世界一にしたい」「サッカーの楽しさを日本人全員に知ってもらいたい」というような夢を、子どもたちに持ってほしいと思います。
サッカーのプロ選手になりたいと強く思うのは大事なことですが、たとえなれなくても、そこで夢は潰えるのではなく、「一生サッカーに携わっていたい」「日本のサッカーを世界一にしたい」「サッカーの楽しさを日本人全員に知ってもらいたい」という夢は、他の仕事を選んでも叶えることができるということを、キャリア教育の中で、ぜひ、教えたいと思います。
ここで大事になるのが、世の中には、どのような仕事があるのかを知っていることです。
子どもたちは、ほとんど知らない、といってもよいでしょう。
基本的に子どもたちが知っている職業は、親の職業と教員、それにテレビに出てくる職業くらいで、実際には、親がどんな仕事をしているかを知らない子も沢山います。
授業では、みんなで職業探しをしますが、60人で知恵を絞っても、2000ほどしか出すことができません。
2000というと驚かれる方もいらっしゃいますが、世の中の職業の数はこんなものではないし、子どもたちが大人になる頃には、今は想像もしないような職業が現れるかもしれません。
また、子どもたちは、自分たちで挙げた職業が実際にどんな仕事なのかを知っているわけでもありません。
そこで、家で、してほしいのが、職業について、少しでも多く、お父さん、お母さんが教えてくれることです。
一緒に職業探しをして見るのも面白いし、また、難しい面もあるかと思いますが、お父さんやお母さんの職場を見せてやるのは、とても重要な学習の一つになります。
家族で出かける時、「職業探し」という観点で周りを見回すと、日頃、気づかなかった職業に出会う可能性が高いでしょう。
夢を語れる人は、いつも生き生きとしています。
夢は、どんどん変わっていいので、少しでも早くから、夢を語れる人にしてやってください。