視点を与える
まず、これをご覧ください。
これは、修学旅行の後、6年生のAさんから提出されたレポートの一部です。
6年生は、1年かけて、将来について学習しますが、その中で、ディズニーランドのおもてなしについて学び、その後、修学旅行で実際にディズニーランドに行きます。
6年生の担任をするたびに、同様のレポートを書かせますが、このAさんのレポートは、中でも素晴らしいものの一つです。
キャスト(ディズニーリゾートの従業員)の様子をよく見て、多くのことを学んでいます。
(見)は、自分が見つけたこと、(学)は、そこから自分が学んだことです。
(見)話しかけた時は、いつも笑顔だった。
(学)相手に楽しんでもらおうと思う時は、自分がそうならなければならない。
(見)顔は笑っていながらも、素早く確認している。
(学)ワクワクを壊さないためには、笑顔でいながら、大切なことを行うことが大事。
(見)動きがすごく細かかった。
(学)一気に動くのではなく、細かく動くことで綺麗に見える。
(見)「いってらっしゃい」と言うだけでなく、手も振ってくれる。
(学)同じことを伝えたい時でも、身振りをつけることで、より伝わりやすくなったり、嬉しく思ってもらえる。
(見)集合時間に間に合うのかとアトラクションに並ぶのを迷っていた時に、声をかけてくれて、大袈裟なくらいはっきりと「全然大丈夫だよ」と言ってくれた。
(学)何かを伝える時は、相手がはっきりとわかるように伝える工夫をする。
(見)落し物をした人に、落としたものの特徴などを細かく訊いていた。落とした人がパニックにならないように、おっとりとした話し方だったが、確実に対処していた。
(学)人に伝える時には、それがよくわからないことだったら、沢山の資料を集めて、一回で的確につたわるようにすると良い。困っている人がいる時には、その人が、今、どんな状態なのか(困ってパニックになっていたら落ち着けるようにおっとりとした話し方にするなど)をしっかり考えてから助ける。
(見)チュロスを用意する時には、とても素早かったが、それを渡す時は、とてもゆっくりと丁寧に渡していた。先にお釣りを財布にしまおうとしたら、一度差し出したチュロスを、その人にプレッシャーをかけないように一度ひっこめ、お金を財布にしまい終わったのを確認してから、「どうぞ」と笑顔で渡していた。
(学)実際には、相手を急かしていなくても、急かしているように見えてしまう行動があるから、気をつけて行動したい。
誰でも楽しい時間を過ごせるディズニーランド。
何も考えなくても、素敵な時間を過ごせますが、こうした視点を持って過ごせば、また別の充実した時間を過ごすことができます。
みんなが同じものを見ます。
でも、学ぶものは違います。
それは、視点の違いによるのです。
例えば、お子さんと一緒にスーパーマーケットに行った時、お父さんやお母さんが、従業員の話をすれば、お子さんの目は従業員に、物の値段のことを言えば、値札に目が向きます。
ですから、今日は、スーパーで何を見せ、学ばせたいかを決めて、それについて話をしながら買い物をすれば、お子さんは、買い物の中で深い学習をします。
こう書くと、何か大袈裟になってしまいますが、お父さん、お母さんが気になっていることを、スーパーに行く途中で、軽くお話してやるだけで、子どもは学びの視点を持つことができます。
子どもは、お父さん、お母さんの言葉というフィルターを通して「社会」を見ています。