夏休みに、これだけは〜道具〜
夏休みは子どもに自然を体験させよう、と、家族のキャンプが流行ったことがあります。
もちろん、日頃触れたことのない自然に、子ども達がふれるのは大事なことです。
たった3日間でも、自然の素晴らしさに感動した気持ちは、子どもの中で健やかに育つでしょう。
でも、せっかくの感動も、元の生活に戻ると多くの場合薄れていってしいまい、その気持ちを持ち続けさせてやる方法は、なかなかないものです。
自然に触れるのもいいですが、「道具に触れる」「道具に馴染む」ということも、それと同じくらい重要です。
身近にある道具に触れるのなら、わざわざ遠くに行く必要もないし、これは、普段の生活のひとつとして、ずっと続けていけることです。
この場合、「道具」の定義は、
・ブラックボックスを含まないもの
・使えば使うほど上手になるもの
です。
包丁、金槌、鋸は、自分がこうしたから、こうなったと子どもの目にはっきりわかります。
でも、テレビやテレビゲームは、原因と結果の間にブラックボックスを含みます。リモコンのボタンを押すとどうして画面が変わるのか、その仕組みをくわしく説明できる子は稀です。
ブラックボックスを含むものは、それゆえに子どもの興味を惹き、向学心につながる場合もありますが、この時代、テレビのリモコンを手にしたほとんどの子が、それを不思議に思い夏の自由研究に取り上げるなどということはあり得ないでしょう。
包丁、金槌、鋸は、難しい道具ですが、子ども達は使えば使うほど、上手に使えるようになっていきます。
テレビゲームのコントローラーなども、使うほど素早く動かせるようになるでしょう。
でも、機械のインターフェイスは日々進歩しているので、今身につけた技術は、後々役に立たないことも多いものです。
ゲームのコントローラーの早押しよりも、細胞をつぶさないように魚や野菜を包丁で切ったり、金槌で釘をまっすぐ適度な深さに打ったり、1mmの違いなく木を切ったりする方が微妙な動きが必要です。
この微妙な力の入れ具合の違いが、子どもの体や脳を発達させるために重要です。
「うちの子は、こんな道具が好きです」「こんな道具に苦戦しながら楽しんでいます」という例を教えていただけたら、また、みなさんにお知らせして広めていきたいと思います。