夏休みの勉強

読者の方からのお便り***************

小2の夏休みはどのようなものをさせれば良いかご教示頂けると幸いです。

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 1学期の成績をもらったり、担任の先生との面談があったりで、お子さんの勉強の様子も少しご心配かもしれませんが、4年生までは、学校の勉強は、学校の先生にお任せして(学校で出された宿題をまじめにやって)、お父さん、お母さんは、お子さんの脳を鍛えることに力を注いでください。

 脳を鍛えるといっても、特別なこと、難しいことが必要なわけではありません。

 子どもの脳は、まず、基本的に、五感を通して鍛えられるそうです。

見る、聞く、さわる、嗅ぐ、味わう、すなわち、目、耳、肌、鼻、口など、体のあちこちから情報を受け取ることで、感覚が研ぎ澄まされ、脳のあらゆる場所の力が高くなるそうです。

 五感をひとつずつ見ていきましょう。

 まず、いちばん使っている目。

 先生方は、五感を使った学習ができるように授業をいろいろ工夫していますが、それでも子供が使う感覚器官は、主に目と耳です。

また、コンピューターゲームをやっている子は目を使いすぎています。

夏休みは、目を休ませてあげましょう。

 遠くまで見渡せる広々とした場所を目で感じるのは、よい経験です。

地球が丸いことを実感できる水平線、自由に形を変える雲、朝昼晩で色合いの変わる山や海…、いつもと違う、そんな場所に行ったら、広がる世界を目で感じさせてください。

 次に、耳です。

 耳も毎日使っている器官です。

しかし、聞いているのは、人の声と、テレビから出てくるような周波数の限定された音ばかりです。

 この世界は、子供が気づいていない魅力的な音にあふれています。

もし家族旅行などで日常とは血がう場所に行く機会がありましたら、その場所で、世界にあふれている魅力的な音に耳を傾けてみてください。

親子で目を閉じれば、きっと数えきれない地球の音が聞こえてきます。

 肌に触れることも、脳の力を引き上げてくれるようです。

 お子さんは、普段、泥まみれ、砂まみれになって遊ぶ機会がありますか。

小学校に入ってから、そういう機会はどのくらいあったでしょうか。

汚れることを恐れずに、いろいろなものに触れておくことが、この時期に大切なことです。

特に、手は脳とのつながりが強いそうです。手でいろいろな感触を味わい、手を器用に動かすことは、脳を発達させるためにとても効果的だと思われます。

 次は鼻です。日本はとても清潔な国なので、悪臭漂う場所は、どんどん減っています。

そのおかげで鼻は自然の良い香りを味わっているかというと、実際は逆で、悪臭に、より敏感になってきているようです。

悪臭に敏感になっているということは、脳が悪臭のことばかり考えているということです。

 また、悪臭を取り除くための「作られた香り」も刺激の強いものです。

まわりの刺激が強くなればなるほど、鼻は微妙な香りを嗅げなくなっていきます。

 お子さんは、花や果物が、それぞれどんな香りを持っているか、知っていますか。

山や海には、どんな香りが漂っているかを感じた経験がたくさんありますか。

町は、それぞれ独自の匂いを持っているということを、知っているでしょうか。

 テレビやインターネットの映像からは、本物の香りは伝わってきません。

「どんな香りがする?」お父さん、お母さんのこんな一言で、お子さんの臭覚は一気に目覚めると思います。

 毎日食事をしているのですから、味覚は発達していると思いがちです。

 でも、お子さんが味わっているのは、お父さん、お母さんの手料理と給食。

家の人の手料理はおいしいものですが、それは「調理されたもの」です。

 お子さんは、調理される前の野菜などの素材の味をどれくらい知っているでしょう。

もし、旅先などで、もぎたての果物、採りたての野菜、魚介を口にする機会があったら、積極的にお子さんに勧めてください。

 また、塩むすびとお茶だけを持ってハイキングに行くのもお勧めです。歩き回っておなかがすいた時だからこそ、お米の甘さ、お茶の香りのすがすがしさを、お子さんは感じることができると思います。

 この他にも、海で波にゆれる、とか、さわやかな風を体全体で感じる、というような体験も、脳を活発にさせる良い方法のようです。

 さて、ここまでは、「情報のインプット」です。

 これだけでも、学習効果は高いのですが、さらに、それを高めるためには、「情報のアウトプット」が必要です。人は、アウトプットした時に、その知識を自分のものにできます。

私が授業で、子供同士が教えあう時間を大事にするのは、そのためです。

 夏休みの体験を言葉にして人に伝えた時、お子さんの体験は、お子さんの栄養になります。

伝えたいことを相手にわかるように工夫して伝えるという作業は、脳をフル回転させます。

 家族旅行に行ったら、帰ってきてから、思い出を家族でたっぷり話してください。

普通のおしゃべりでかまいません。

残念ながら「お留守番」になってしまった人に「こんなことがあったよ」と伝えることは、さらに効果的です。

 特別な体験をしていなくても、田舎のおばあちゃんに、普段の生活の話をするのも、同様の効果があります。

10歳までは、おしゃべりが何にも増して重要な学習方法だと思います。

 4年生、5年生、6年生は、おしゃべりにプラスして、文章で人に伝えることができると、さらにいいと思います。

日記、体験作文などの宿題が出ていたら、ぜひ、脳の力をアップさせるために使ってください。

 夏休みにどんな体験をしたか、また、教えてください。

みなさんに広めていきたいと思います。


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