造花に生まれて
造花に生まれた
僕は散らない
どんなに強い風にも
ゆれることなく 千切れることなく
造花に生まれた
僕は枯れない
陽の光さえ浴びなければ
けして色あせることはない
造花に生まれた
僕は死なない
いつまでも果てぬ永遠の命を
人はうらやむ
生まれた時から花だった
頂点から人生が始まった
種から芽が出て花を待つ
胸のときめく草の時代
未来をのぞむ葉先の躍動
どんな味わいなのだろう
ピークが過ぎて花びらを落とす
種を生み出す実を待つ時代
未来に託す枯れ色の落ち着き
いつまで待ってもその時は来ない
造花に生まれて
咲き続けていく
世話する人がいなくなれば
ほこりも拭わず生き続ける
いつまでも果てぬ永遠の命を
人はうらやむ