新三菱重工業(のちの三菱自動車工業)は62年(昭和37年)10月、ミニカを発売した。三菱として初の軽乗用車である。

 三菱では、これに先立つ61年の4月に軽ライトバンの三菱360を発売しているが、ミニカはこれをベースとし、基本構造はそのままに、Bピラーから後方のボディを変えることで生まれた。

 新三菱重工では、3輪トラックの”みずしま”の生産がさかんであった55年頃から軽自動車の開発をスタートさせたが、50年代後半に急速に軽商用車の需要が高まってきたことから本格的な開発を進め、60年10月に開かれた第7回全日本自動車ショーにプロトを出品、のちに発売したものである。パネルバン(LT20型)とライトバン(LT21型)の二つがあった。

 61年10月にはピックアップ車(LT22型)が発売され、62年4月にはライトバンのデラックス(LT21D)も加わった。生産は水島自動車製作所で行われた。

 軽商用車である三菱360は、乗用車的な基本構造とスタイリングを備えていた為、そこから軽乗用車を派生させることは比較的容易であり、またコスト面でも有利であった。

 ミニカのスタイリングの基本はリアに短いトランクを持つ3BOXスタイルで2ドア、太めのCピラーに特徴がある。リアウィンドゥは垂直に近く、これにより後方のヘッドルームを確保している。フロントは車幅いっぱいに広がったラジエターグリルが、いかにも乗用車的で、丸ニ灯のヘッドランプはその中に位置する。ドアは後ろヒンジである。

 フロントエンジン・リアドライブとした為、リアにはトランクが設けられ、当時の軽自動車としては最も大きい容量をもち、ゴルフバッグが入るということをセールスポイントとした。ボディ構造はラダーフレーム付きである。

 生産台数は62年度が4399台、63年度は8915台、そして64年度では1617台で、市場占有率は13%に達した。

 初代ミニカの初期型エンジンは、ME21型という型式名の強制空冷2サイクルエンジン2気筒359CCで、17PS/4800rpmであったが、64年後期ではME24型・18PS/4800rpmに進化し、この時点でオイルがオートミックス方式に改められた。されに、キャブへの吹き返し防止の為にリードバルブが加えられた。

 67年5月の改良では、圧縮比7.8は同一ながら、21PS/5500rpmの性能となった。また68年10月にはスーパーデラックスが加えられるが、このエンジンは水冷で23PS/5500rpmの性能を発揮する2G10型エンジンが搭載された。

 

次⇒