初代が約7年の長寿を誇ったのに対し、'70は3年3ヶ月と短命に終わったモデルである。しかし、'84年2月にFF方式に変換される迄の、約11年半の間に発売された各代(3代目:F4.'72.10〜4代目:5・'76.4〜5代目:ami55・'77.6〜6代目:amiL・'81.8〜)におけるシャーシ、足回り等の基本骨格は、ほぼ'70を踏襲している事からも分る様に、如何にも基本設計が優れていたか察しが付こうものである。
2.モデル変貌
'70の発売時期は、軽自動車業界が第二期黄金期の渦中であり、販売競争も過熱化していた事から、ほぼ1年毎にマイナーチェンジを実施している。以下に、主要変更項目を発売順に記す(大別して、発売後4回マイナーチェンジを実施)。
(1)'70('69.7/7発売。販売期間:'69.7〜'70.9)
2代目ミニカはミニカ70とネーミングされた。これは、70年代を先取りする近代的なミニカーという意味を持つ。
サブネームにちなんだ”7”尽くしの日に発表・発売された。形式は、エンジン冷却方式の違いによって、2種類存在し、空冷(STD、DX)をA100、水冷(SPORTY DX、SUPER DX)をA101としている。カタログ上での表記は、「'70」であり、”セブンゼロ”と読む。尚、この時点でGSSは発表のみである。(発売モデルとは、グリル王冠マークの形状が異なる)。
空冷エンジンは、初代LA21に搭載されていたME24D型を改良したME24E型であり、26ps/5500rpm;3.6kg/4500rpmである。水冷エンジンも、初代LA23に搭載されていた2G10型を改良した2G10-1型であり、28ps/6000rpm;3.6kg/5000rpmである。両エンジンに互換性は無く、トランスミッションも異なる(A100ではミッションケース下方にオイルポンプ駆動ギアが付いているが、A101には無く、ベルハウジングの形状も異なる)。
同年12月には空冷シリーズの最上級モデル・HI DELUXおよび、バン(形式:A100Vが発売開始となる)。
ミニカ70の特徴は次ぎのようになる。
@流麗なスタイル”WingFlowLine”
A1L級車並の拾い室内、乗り降りが容易なジャンボドア
Bトップレベルをいく高性能、抜群の登坂力を示す強力な”VitalEngine”
Cフランス調の豪華なウレタンシート
D若若しいデザインの運転席
E優れた操縦安定性と、クラス最小の回転半径3.8m
F軽く強いボディ、充実した安全設計-。
ボディはモノコック構造に進化し、サスペンションもフロントがストラット/コイルに、リアは5リンク/コイルの新設計となっている。駆動方式はFRで変わらないが、トランスミッション・コントロールはコラムからフロアシフトに改められ、レッドエンジン車の最高速度は110km/hに向上した。
69年12月には、水冷型にツインキャブで38PSとしたゴールデン・エンジンを載せたスーパースポーツ(SS)と、グランド・スーパースポーツ(GSS)が登場した。当時の軽自動車のパワーアップ競争に対応したモデルである。エンジン型式は2G10−2で、GSSの最高速度は125km/hを公称した。GSSはタイヤが145SR10のラジアルとなった。
さきにシートがフランス調と記したが、これはフランスのベルト・ランフォール社との技術提携の結果生まれたウレタンフォームのシートを採用しているからである。振動減衰性に優れ、長距離走行でも疲れにくい。