Jeff Beck


DISCOGRAPHY Part 2 (1967 - 1973)



1

truth

1968

★★★★

 当初, Beck ・ Stewart ・ Wood ・ Dunbar の4人で結成され,事実上のバンドのまとめ役は Aynsley Dunbar さんだった(『ジェフ・ベック 孤高の英雄伝説』シンコーミュージック刊より) Jeff Beck Group でしたが, Aynsley Dunbar さんはアルバム録音前に早くも脱退してしまいます.これはすご〜く残念なことで,1度でいいから Aynsley Dunbar 在籍時の Jeff Beck Group の演奏を聴きたかったです.それはともかくとして,いわゆる第1期・第2期・BB&A と3期に分けて語られることの多い Jeff Beck Group ですが,やはりこの第1期がダントツに素晴らしかったと思うのです.ただこの第1期ですが,あくまでアルバムのクレジットは Jeff Beck 名義なんですよね.... で,このアルバムでは Aynsley Dunbar さんなき後のドラムスは Mick Waller さんが担当,あとゲストとして Nicky Hopkins (Pf) ・ John Paul Jones (Org・Timpani) のおふたりが参加しています.アルバムの内容としては, The Yardbirds の "Shapes of Things" ・ Grateful Dead なんかも演っている Rose-Dobson 作の "Morning Dew" ・ Beck さんのシングルとしてすでにリリースされていた Jimmy Page 作の "Beck's Bolero" ・ Willie Dixson 作の "You Shook Me" ・トラディショナルの "Greensleeves" と,よくもここまでと思われるほどヴァラエティーに富んでおり, Beck さんのギターも素晴らしい出来だと思います. Rod さんのヴォーカルもよいのですが,私ひねくれているもんで, "Shapes of Things" に関しては Keith Relf さん, "You Shook Me" に関しては Robert Plant さんの方が好きなのです,すんません.

2

Cosa Nostra Beck-Ola

1969

★★★★★

  Beck さんのバンド時代を通じては,やはりこのアルバムが最高作だと思います.ただ,中学高校の頃,まわりの連中がみ〜んな「 "Truth" こそ Beck の最高傑作」と言うのに対して,ひとりだけ「 "Beck-Ola" の方が良い」と言いはっていたらいじめられました.どう思いますかぁ? 私がこの作品の方が優れていると思う理由としては,まず,前作の "Truth" があまりにもいろいろな要素を取り入れ過ぎてしまったため,1曲1曲の出来が素晴らしいにも関わらず,アルバムとしては散漫な印象を与えられてしまう作品であったのに対して,この "Beck-Ola" は全体的にロックンロール1色の印象が強く,下手なコンセプト・アルバムよりも作品全体にポリシーを感じさせられる作品であるというところにあるのです.つまりは構成美ですね.... 第2に, Beck さんのギターの音色が前作より『生きている』感じがすること,つまりは躍動感ですが,これは "Plynth" ・ "Rice Pudding" のようなナンバーに特に強く感じられます.第3のファクターとして Rod Stewart さん,以前のこの人って本当に凄いシンガーだったわけです(今は哀しい)が,あまり Blues が似合わない人だったと思うのです(あくまで私見です).それ故,たとえば前作での "You Shook Me" など,同時期の Led Zeppelin によるヴァージョンと比較するとどうしても聴き劣りがしてしまって,あまり好きじゃなかったのですが,このアルバムでの "All Shook Up" ・ "Jailhouse Rock" といったロックンロールナンバーでは,これでもかって言うくらい,本領を発揮していると思うのです.なお,このアルバムでは,ドラムスが Tony Newman さんに替わり,前作ではゲスト扱いだった Nicky Hopkins さんが正規メンバーとしてクレジットされていますです.

3

Truth & Beck-Ola

(1975)

-

 上記2枚のアルバムのカップリング 2LP.

4

Truth & Beck-Ola

(1991)

-

 同じく上記2枚のアルバムのカップリング 1CD.

5

JEFF BECK GOLDEN DISK

-

-

 同じく上記2枚のアルバム全曲に, "I've Been Drinking" を追加収録した 2LP.

6

The Best of Jeff Beck

1970

-

 '69年9月に第1期 Jeff Beck Group 解散. Rod Stewart & Ron Wood のお二人は Faces に加入し, Beck さんは Vinilla Fudge の Tim Bogert & Carmine Appice のお二人とニューグループを結成しようと画策しますが,その矢先11月に Beck さんは交通事故に遭ってしまい, Bogert & Appice のお二人は Cactus を結成,プランは水泡に帰してしまいました.そんな時期にリリースされたいわゆる第1期 Jeff Beck Group 時代のベスト・アルバムですが,何と言っても,ソロ・シングルの "Hi Ho Silver Lining" ・ "Tallyman" や "Love Is Blue" 等のアルバム未収録曲の収録が嬉しい1枚であります.で,結局 Beck さんは翌 '71年5月, Cozy Powell (Ds) ・ Clive Chaman (B) ・ Max Middleton (Kbd) ・ Alex Regartwood (Vo) の各氏と,俗に言うところの第2期 Jeff Beck Group を結成したのでした.




7

ROUGH AND READY / Jeff Beck Group

1971

★★★

 このいわゆる第2期 Jeff Beck Group というのは, Jeff Beck さんのキャリアの中では最も目立たないというか,第1期と BB&A があまりにも派手に取り扱われるためか語られることの少ない時期なんですが,ギタリスト Jeff Beck を語る上では,最も重要な時期だと思うのです.まず第1に, Beck さん自身が積極的に曲作りを行うようになったのはこの時期からで,第1期のアルバムではわずか "Spanish Boots" ・ "The Hangman's Knee" ・ "Rice Pudding" の3曲に共作者の1人として名を列ねているだけだったのに対して,このアルバムでは全7曲中6曲を自ら書き下ろしています(うち1曲 "Joey" のみ B. Short との共作).また,プロデュースも御自身でなさっており,この作品に対する意気込みが感じられるのですが,悪く言えばひとりよがりに終わってしまっているような印象が与えられるのは残念です.ですが,何と言っても重要なのは,後のソロ時代に入ってからの驚異的な Beck 奏法のほとんどがこの時期に生み出されたということなのです.ヴォーカルはレコーディング直前に Bob Tench さんに替わっていますが,この人に関して言えば,声質もいいし上手いヴォーカリストだとは思うのですが,少々線の細さが気になってしまうのです(これと同じ事を以前 Edgar Winter's White Trash の Jerry Lacroix さんについて書きましたが....).ま,かつての Rod Stewart さんと比較しちゃ可哀想かしらん....

8

JEFF BECK GROUP

1972

★★★★

 流石に前作のひとりよがり的なアルバム制作を反省したのか, Beck さん自身が尊敬していたという Steve Cropper 氏をプロデューサーに迎えての第2作.それだけのことはあって,作品自体のまとまりは前作の数段上だと思います.中学高校の頃,このアルバムが大好きで,「やっぱり Beck はリンゴとミカンじゃ〜」などと言っておりました.このアルバムについて特筆すべきはやはり名曲 "Definitery Maybe" で,このスライド・ギターとエフェクターの組み合わせによる独特の奏法の完成が,結局「Jeff Beck Group にヴォーカリストはいらない」という,後の一連の傑作ソロ・アルバムの礎となったと言っても過言ではないと思うのです.

9

BECK, BOGERT & APPICE

1973

★★★

 Cream ・ Jimi Hendrix Experience を超えたトリオとかなんとかもてはやされたモノでしたが,私実はこの2大バンドあまり評価してないもんで....だって Cream の Eric Clapton さんにしても Jimi Hendrix さんにしても,冗長なギター・ソロが退屈で,アルバム1枚聴くのがしんどいんだも〜ん.それはともかくとして,私, Beck さんのキャリアの中で,この BB&A 時代を一番評価できません.一部では「Led Zeppelin を超えたハード・ロック・バンド」としての評価を受けていたらしいですが,全然ハードでもヘヴィでもないと思いますもん.それに,やっぱり致命的なのがメイン・ヴォーカリストの不在で(この際ですから『不在』と言い切ってしまいます),それぞれの曲自体の出来がよろしいだけに,とても残念でした. Beck さんにとっては念願のグループ結成だったわけですが,結局グループは Beck さんと Bogert さんの確執もあって,'74年なかばに自然消滅してしまうのでした.

10

BECK, BOGERT & APPICE LIVE

1973

★★

 日本のみでリリースされた,来日公演のライヴ・アルバム 2LP.この当時, Beck さんのライヴ・アルバムって他に存在してなかっただけに,海外で評判が高かった作品らしいです.

11

BECK, BOGERT & APPICE LIVE

-

-

 上記ライヴ・アルバムを編集して 1LP にしたもの.

12

JEFF BECK GOLD DISC

-

-

 いわゆる第2期 Jeff Beck Group と Beck, bogert & Appice 時代のコンピレーション.収録曲の半数以上が BB&A 時代の曲で占められている,めちゃ偏ったベスト・アルバム.